めにゅー つぎへ



おーぷにんぐ



≪東天王国≫

ミント
 「おおっ♪ 今夜の晩ゴハンも豪勢ね〜♪

じいや
 「姫さま! まだ、したくができておりませぬ!

 「準備がととのうまでお部屋でお待ちくだされ!

ミント
 「だってさ〜、城じゅうにいいニオイがするんだもん。
  ガマンできるほうがおかしーわ!
 「は〜……見てるだけでヨダレが出ちゃうわね〜。

じいや
 「つまみ食いなどなさらぬように!

ミント
 「んー、んまいっ♪

じいや
 「な、なんたる手のはやさ……。
  姫さま! おぎょうぎが悪うございますぞ!

ミント
 「かたいコト言うんじゃないわよ。
  どーせ後で食べるんだから今、つまみ食いしたって同じ同じ♪

じいや
 「お待ちくだされ、姫さま!

ミント
 「他のも食べちゃおっと♪ どれにしようかな〜♪


じいや
 「食事の時間までしんぼうなさってくだされ!

 「なんたる無作法……。じいは悲しゅうございます!

 「姫さま、いいかげんになさいませ!

 「おお、なげかわしい……。昔は素直なよい子だったというのに!
  今の姫さまは、ご自分の食欲に素直になりすぎておられる!

 「姫さまの無作法は、じいの責任……。
  今は亡き王妃さまになんとおわびすればよいか……。


ミント
 「これは……珍味! いいおつまみになりそうね〜!

 「これは食べちゃったから他のを味見しよっと。


 「中身はナニかな〜……。後のお楽しみにしとこ♪

 「お楽しみ♪ お楽しみ♪


 「今夜のスープは、なかなかのヒットね。
  舌にとろけるよーな、まろやかで豊潤な味わい……ああ、シアワセ……。

 「これは食べちゃったから他のを味見しよっと。


 「おおっ、こんがりキツネ色! おいしそーに焼けてるじゃない♪

 「お楽しみ♪ お楽しみ♪


 「むむ……。シェフのやつ、腕を上げたわね!!

 「これは食べちゃったから他のを味見しよっと。


 「これは…………。げげっ!? カボチャぁ!?
  あたしがカボチャがキライなのを知ってるくせに! シェフのやつ……クビね!

 「見た目もニオイも不気味ね………。


ミント
 「うまい料理にかこまれてああ、シアワセ……。
  この世に生きるヨロコビってきっとこーいうコトなのね〜。

じいや
 「そ、それは国王陛下の座るイスですぞ!
  姫さまの席は、そこではございません!

ミント
 「いーのいーの。今はオヤジのイスだけどいつか、あたしのモノになるんだしさ。

じいや
 「たしかに姫さまは、いずれわが東天王国の女王となられるお方。
  ですが……。

ミント
 「じゃあ、あたしがこのイスに座ってもいいじゃな〜い。

???
 「お姉さまっ!!

ミント
 「お?


ミント
 「どーしたの、マヤ? ドールマスターなんか連れちゃってさ。

マヤ
 「どうしたもこうしたもありませんっ! お姉さまに、大事なお話がありますっ!

ミント
 「お話? そんなことより先に食事よ、食事!

マヤ
 「なんと身勝手な……!
  お姉さまは、ご自分の立場をわかっていらっしゃるのですか?

ミント
 「あたしの立場、ですって?

 「わかってるに決まってるでしょ!
  あたしは、あんたの姉で東天王国の第一王女!
  ゆくゆくは、この国を支配する女王になる超・重要人物ね!

 「わかりやすく説明してあげるわ! よーするにっ!
  このミント様は、あんたなんかより
  ぜんっぜんエラくてウツクしくてカッコイイってわけ!!
  わかった? あたしは、未来の女王さまなのよっ!

マヤ
 「それは昨日までの話ですわ!

ミント
 「へ?

ドールマスター
 「先ほど、王国最高会議が開かれましてな。
  ミント殿下の王位継承権の無効が満場一致で決定されました。

ミント
 「は?

 「そ、それって……どーいう意味かな〜?

ドールマスター
 「つまりミント殿下は、女王になる資格を失ったということです。
  次期女王として即位されるのはミント殿下ではなくマヤ殿下となります。

マヤ
 「お姉さまは、女王失格ということですわ!

ミント
 「な……。
  な……。

 「なぬー!?!?

 「どどどどどどどどどど、どーしてよ!? なんであたしが女王失格なの!?
  そんなの、どこのどいつが決めたのよ!

ドールマスター
 「ですから、王国最高会議です。もちろん国王陛下も賛成されております。

ミント
 「オヤジまで、そんな……。ううっ……ひどい! ひどすぎるわ!!

マヤ
 「なにをおっしゃいます!!

 「魔法の勉強はサボってばかり!

 「夜ふかし・朝寝坊は日常茶飯事!

 「国のお金でムダづかい!

 「嫌いな食べ物は残すくせに好きな食べ物は5人前!
  そんなわがまま勝手なお姉さまが
  わが歴史ある東天王国を統治できるとお思いですか?

ミント
 「それは、なるよーにしかならないんじゃ……。

マヤ
 「そのような投げやりな態度では東天王国は崩壊します!!

ドールマスター
 「ミント殿下が女王となればわが国は半年でつぶれるでしょうな。

じいや
 「たしかに……。

ミント
 「じ、じいまでそんなコト言うの!?

マヤ
 「納得していただけましたか。
  次期女王となるのは、お姉さまではなく、このわたくしです。
  これからは、ビシビシ厳しくやらせていただきます。よろしいですね?

ミント
 「よろしいワケあるかぁ! こーなったら、力ずくでどーにかしてやるわ!

 「マヤ! あんたなんかあたしの魔法でボコボコよ!
  女王の座は、渡さないからね!

マヤ
 「あら……わたくしと戦うおつもりですか?

ミント
 「げげっ!

 「それは……ブック・オブ・コスモス!?

マヤ
 「そう、わが国に伝わるエイオンの【遺産】その名もブック・オブ・コスモス!!
  大賢人アタナシウスがつくった最強の魔宝に、
  お姉さまの自己流魔法がかなうはずもありませんわ!

ミント
 「【遺産】の力を借りるなんてあんた卑怯よ!!

マヤ
 「なんとでもおっしゃい。ほら、ブックにはこ〜んなこともできますのよ。

ミントのアタマにカボチャが落下!
ミント
 「げふっ!?


ミント
 「こっ、コレは……!
  かっ、かかかかカボチャあ!?

マヤ
 「そう、お姉さまが大大大っキライなカボチャですわ!!
  食事のとき、いつも残してましたね。
  ですが、今後そのようなわがままはいっさい許しません。
  お姉さまが、きちんとカボチャを食べるようになるまで、
  朝昼夕食デザートはずーっとカボチャづくしですわ!

ミント
 「そ、それだけはっ!?

「それだけはイヤっ!!

マヤ
 「…………。

ミント
 「ほら、あたしたち姉妹じゃない……? ね? ね?

マヤ
 「ダメですっ!! やっておしまいなさいっ!

ミント
 「ひ〜〜〜〜〜っ!?

 「マヤっ! おぼえてなさいよ〜!!
 
 
うぐぐ……おのれ!
なんであたしがこんな目に!
あたしも【遺産】を持ってたら
マヤなんかに負けないのにっ!
 
こーなったら、とことんまで
やってやるわ!
あたしも【遺産】を手に入れて
マヤをボコボコにしてやるっ!
マヤから王国を取り戻したら
その次は……
世界を征服してやるわっ!!

めにゅー つぎへ