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あしたへのたびだち



???
 「ミント?

 「ミント、寝てるのかい?

 「やっぱり寝てる……。

 「この様子だと、まだ起きそうにないな。
 

≪カローナの街≫

宿屋・ミントの部屋
ルウ
 「それにしても……。平和な顔で寝てるなあ。

ミント
 「悪かったわねっ!?

ルウ
 「うわっ!?

 「びっくりした……。起きてたのか。

ミント
 「あんたがうるさいから目が覚めちゃったのよ。

 「お?

 「ここ……宿屋よね? あたし、どーしてこんなところで寝てたの?

ルウ
 「わからないのは当然だよ。
  ヴァレンの聖域を脱出してから君は3日間も眠りつづけてたんだ。

ミント
 「げげっ!? 3日も!?

ルウ
 「マヤさんが言ってたよ。『魔法を使いすぎて疲れたんだろう』って。
  マヤさんは、ホテルで休んでる。
  ずっと寝ないで君を看病していたから疲れがたまったみたいだ。

ミント
 「ふ〜ん……。あいつが、あたしを看病するなんて……。

 「あ!

 「すっかり忘れてたわ、ルウ! あんた、どーいうつもりよ!

ルウ
 「え!?

ミント
 「あたしが寝てたのに、だまって部屋に入るなんてマナーがなってないわ!

ルウ
 「ご、ごめん! ミントには、いろいろ世話になったしお別れを言いたくて……。

ミント
 「へ?

ルウ
 「ヴァレンのデュープリズムは消えてしまったから……。
  僕、別の【遺産】をさがしに行くよ。また一からやり直しさ。

ミント
 「そっか……。

ルウ
 「今度こそは、と思っていたけど結局【遺産】は手に入らなかった。
  くやしいよ。ほんとうにくやしい。あと一歩だったのに……!

ミント
 「ルウ……。

ルウ
 「クレアが待っているのに……。

ミント
 「なーに暗くなってんのよっ!

ルウ
 「わっ!?

ミント
 「【遺産】のひとつやふたつすぐ見つかるわよ!

ルウ
 「…………。

ミント
 「世界のあちこちには、まだ誰も調べてない遺跡やアトリエがゴロゴロしてるわ!
  そいつをひとつずつ調べていけばどこかにかならず【遺産】があるはずよ。

ルウ
 「そうかな……。

ミント
 「そーにきまってるわ!

ルウ
 「そうか……そうだね。ミントのおかげで、なんだか元気が出てきたよ。ありがとう。

ミント
 「そのかわり、【遺産】を見つけたらあたしにも貸すのよ! いい?

ルウ
 「え!? やっぱりミントはミントだね……。
  わかった。【遺産】でクレアを助けたらミントに手紙を書くよ。約束する。

ミント
 「バッチリたのむわよ、ルウ!

ルウ
 「今までいろいろありがとう。君のこと、忘れない。

ミント
 「じゃあね、ルウ。かならずクレアさんを助けなさいよね。

ルウ
 「さよなら。

ミント
 「バイバイ♪


宿屋
カーサ
 「おやおや、やっと起きたのかい。
  3日も眠りっぱなしだったから気が気じゃなかったよ。

 「目が覚めてよかったよ……。
  しばらく外へ出ておいで。部屋を掃除しといてやるからね。

 「あんたが寝てる間に、いろんな人がお見舞いに来たんだよ。
  クラウスさん一家やルウはもちろんベルとデュークって二人組や
  ロッドまでやって来たんだ。
  あんたは、いい友達を持ったねえ……。

 「ルウって子は、もう行っちまったよ。いい顔をしていたねえ……。
  あんたの部屋に入るときは深刻な顔だったのに、
  出てきたときはさわやかに笑ってたよ。

 「なんだい、宿帳に記録するのかい?


噴水広場
ミント
 「はあ……。

 「ルウには、ああ言ったけどやっぱキツいわね〜。
  デュープリズムは消えちゃってあたしの苦労は全部パァか……。

 「とほほ……。この青い空のよーにブルーだわ。

???
 「ミントさ〜ん!

エレナ
 「ミントさん、元気になったんですね〜。安心しました♪

ミント
 「平気平気♪ あたしが、あの程度でへたばるワケないでしょ。

???
 「へへっ♪ ミントってやたらとしぶといもんね!

ミント
 「なぬ!?

 「プリマ!! 元にもどったの!?

プリマドール
 「ミントが寝てるあいだにね!
  ファンシー・メルって人がボクをなおしてくれたんだ。
  ばっちり元気いっぱいだよっ!

 「ね、おねえちゃん!

ミント
 「ん!? エレナが……お姉さん!?

エレナ
 「お父さんが決めたんですよ〜。プリマドールさんはうちの家族になるんです♪

プリマドール
 「これからは、エレナがボクのおねえさんなんだ!

ミント
 「へ〜! そーなんだ!! よかったじゃない♪

プリマドール
 「うんっ♪

エレナ
 「わたし、びっくりしちゃいました!
  プリマドールさんが、わたしの弟だったなんて、知らなかったです♪
  長い間いっしょにいたのにぜんぜん気づきませんでした。

ミント
 「は?

エレナ
 「わたしとプリマドールさんが生きわかれの姉弟だったなんて……。
  ふしぎですね〜。お父さんもお母さんもどうして黙ってたんでしょう?

ミント
 「…………。

 「プリマ……。エレナのこと、よろしくね。

プリマドール
 「ボク、できるだけがんばるよ……。

エレナ
 「さ、プリマドールさん! お買い物に行きますよ〜!

プリマドール
 「うん、おねえちゃん♪


マルコ
 「クラウスさんちのあの子と遊ぼうかな……。

 「もうすぐ定期船が来るんだ。
  ニールさんもマーカムさんも街を出ていっちゃうんだって。

 「ロッドもいなくなっちゃうよ。もうジョニー・ウルフと遊べないんだ……ちぇっ。

 「教会で、知らない人を見たんだ。誰だろう?

 「ねえねえ、知ってる? 東天王国のお姫さまがホテルに泊まってるんだよ!

 「空に浮かんでたヘンな城が見えなくなっちゃった……。
  静かになったのはいいけどなんだか、つまんないな。


マーカム
 「そろそろ都に帰ることにします。
  この街は居心地がいいのでつい長居してしましましたが……。
  商会の経営を放り出すわけにはゆきませんからな。

 「ずいぶんと大きな騒ぎでしたな……。
  若い時分を思い出して、ひさしぶりに血が騒ぎましたよ。

 「この美しい噴水も今日で見おさめですな。

 「都を訪れることがあったら、ぜひ私の店においでください。歓迎しますぞ。

 「不思議なものですな。騒ぎが一段落して、
  安心するはずなのに軽いさびしさをおぼえるのです。なぜでしょうなあ……。


教会
 誰もいないが、教会から出ると
 トラップマスター、モードマスター、サイコマスターの3人が
 姿を現わし、すぐにまた消える



トニオの店
トニオ
 「すいません、今日は準備中なんですよ。

 「もうすぐ定期船が来るんですよ。
  都から、たくさんの品が届きますから楽しみにしてくださいね!

 「そういえば……。お客さんが初めてカローナの街に来た日も
  うちの店は準備中だったんですよね。

 「お店の準備ができたらたっぷり買い物してください!


クラウスの店の地下
クラウス
 「ミント君、おつかれさま。いろいろと大変だったね。

 「やんなっちゃうわ〜。
  あんなに苦労したのに、結局【遺産】は手に入らなかったんだもん。

ミラ
 「でも……そこであきらめるミントちゃんじゃないでしょう。

ミント
 「あったりまえよ!
  今度はうまくいかなかったけど、いつかは【遺産】を手にいれて世界征服よ!

クラウス
 「ははは……そう言うと思ってたよ。

ミント
 「クラウスさんは、これからどーするの? もう【遺産】の研究はやめちゃうの?

ミラ
 「それがねえ……。

クラウス
 「あの不気味な空の城を見たときは、
  もう【遺産】の研究はやめようと思ったんだがね。
  ところが、落ち着いてみると
  また、むらむらと研究意欲がわいてきたんだ。
  やっぱり私の情熱は変わらないよ。
  これからも、ずっと【遺産】の謎を追い続けるだろうね。

ミント
 「そっか……。なんか安心しちゃった。

ミラ
 「困ったものよ。うちの家計のことなんかぜんぜん考えてくれないんだから。

クラウス
 「すまないね、ミラ。子供がひとり増えたのに。

ミント
 「子供? プリマのことね。

クラウス
 「その子はもう、うちの子だからね。うちでめんどうを見ようと思うんだ。

ミラ
 「エレナとも、仲よくやっていけそうだしにぎやかになるのはいいことだわ。

クラウス
 「しかし……この街はさびしくなるな。
  ルウ君は行ってしまったし、ミント君も新しい【遺産】をさがしに行くんだろう?

ミラ
 「ロッド君も、また旅に出るみたいね。

ミント
 「だけど、クラウスさんはこれからも【遺産】を研究するんでしょ?
  だったら、またどこかで会う機会もあるんじゃないかな〜。

クラウス
 「ふむ……またミント君といっしょに【遺産】をさがせたら楽しいだろうね。
  よし! 【遺産】の情報をつかんだら連絡するよ。
  そうしたら、また協力してくれるかな。

ミント
 「もちろんよ!

クラウス
 「では、その時までしばしのお別れだ。
  短い間だが、楽しかったよ。ミント君、いつまでも元気でな。

ミラ
 「いつでも遊びにいらっしゃい。ごちそうするわ。

ミント
 「じゃあ、またね!


クラウス
 「マヤさんは、ホテルで休んでいるよ。
  そういえば、マヤさんをたずねてわざわざ東天王国から来た人がいるんだ。
  ミント君も会ってみたらどうだい?

 「マヤさんは、ドールマスターに利用されていたんだね。
  だから街を襲うような命令を出したというわけか……。
  おかしいと思っていたんだよ。

 「子供たちは、きっと仲よくやっていけるだろう。
  エレナも、弟ができてはりきっているんだよ。

 「エレナは、メルさんから魔法を習うことになったんだ。
 『ミントさんみたいになりたい!』って言っていたよ。

 「『遺産』の情報を見つけたらミント君に手紙を書こう。
  実は、西の砂漠に【遺産】のうわさがあってね。今度はそこを調べてみよう。


ミラ
 「不思議なものよ。小さな子供がひとりいると家の雰囲気が、ぱっと明るくなるわ。

 「いつでも遊びにいらっしゃい。歓迎するわ。

 「ミントちゃんも、妹さんと仲よくしなきゃダメよ。

 「困ったものよ。
  うちの人ったら、家計のことなんかぜんぜん考えてくれないんだから。
  そういうところが、この人のいいところなんだけれど。

 「妹さんはホテルにいるはずよ。
  ずっとミントちゃんを看病しててつかれたみたいね。


街外れの草原
ロッド
 「おう、ミントじゃねぇか。

ミント
 「ケガはもういいの?

ロッド
 「あの程度のダメージなんて、2日もスリープしてればヒーリングする。
  それより、オレ様のグレートマシンをメンテナンスするほうが先だ。
  しばらくトラベルが続くからな。

ミント
 「そっか……あんたも行っちゃうんだ……。

ロッド
 「フッ……オレ様は世界をまたにかける男ロッド・ザ・ブレードスターだぜ。
  ひとつのタウンに腰を落ちつけるのも悪くはねぇが、
  長いしすぎるとソウルのファイヤーが消えちまうのさ。
  カローナ・タウンも静かになりそうだ。
  バトルの相手もいなくなっちまうしニュー・ウェポンの材料もさがしてぇ。


ロッド
 「ここらが潮時ってわけだ。またジョニー・ウルフとふたりでさすらうぜ。

ミント
 「バイバイ、ジョニー・ウルフ。

ロッド
 「……おい。

 「こら、ミント! オレ様へのあいさつはねぇのか!

ミント
 「だって……。あんたとは、そのうちイヤでも会う気がするのよね〜。

ロッド
 「フッ……たしかにな。オレ様も、そんな予感がするぜ。
  OK! そういうことならグッバイは言わねぇでおこう。

ミント
 「でしょ?
ロッド
 「またどこかで会ったらもう一度レッツ・バトルだぜ! いいな、かならずだ!

ミント
 「いーわ! かかってらっしゃい! ボコボコにしてあげるわ!!


ロッド
 「グッバイは言わねぇぜ、ミント。

 「そんなにロンリーな顔を……してねぇか。さっぱりしてて、おめぇらしいぜ。

 「ソウルのファイヤーを消すんじゃねぇぜ。

 「再会したら、からなずレッツ・バトルだぜ、ミント!


裏通り
グレアム
 「こいつらが『強くなりたい』って言うからビシビシきたえてやることにしたぜ。

 「情けない連中だ。腕立てふせ500回ぐらいでもうへたばってやがるぜ。

 「コラ! さぼるんじゃねえ! 次は腹筋300回だ!

 「こうやって、こってりしぼってやれば悪さをする気もなくすだろうさ。

 「俺は明日にでもカローナの街を出ていくつもりだ。次の目的地?
  そんなもん、決めてねえよ。
  そうだな……棒でも倒して、倒れたほうに歩いていくことにするか……。


ブラッド
 「覚えてろよ! いつかテメエにフクシューしてやるからな!

 「ちょ、ちょっと待て! 今すぐバトルするなんて言ってねえだろ!

 「このオッサンのトレーニングはキツすぎるぜ……。

 「見てろよ! かならずテメエより強くなってやるぜ!


スモーキー
 「トレーニングがキビシイっス……。

 「アニキ〜、つかれたッス!

 「ウヒウヒョロヘロ……。こんなに大変なら弱いままでいいッス……。

 「アニキ〜、腹へったッス!


ホッブスの店
ホッブス
 「カノンオーブの代金はマヤちゃんに払ってもらったぞい。
 『どうしてわたくしが!?』とぷりぷり怒っておったがの。

 「人は見かけによらんのう。
  おまえさんが、まさか東天王国の王女だったとはのう……。

 「空の城に行ってきたんじゃろ?
  なにかめずらしいアイテムは見つけんかったかのう?

 「どうじゃ? ワシの店の品を東天王国で買い上げんか?
  特別に安くしとくぞい。

 「めずらしいアイテムを見つけたらいつでもウチに売りに来るがいいぞい。
  高く買い取るぞい。


酒場
デューク
 「よう、ミント。

ベル
 「やっとお目覚めかい。


ベル
 「まあ、無事でなによりだ。これで安心して出発できるね。

ミント
 「ヘ? 出発? あんたたちどこ行くの?

ベル
 「決まってるじゃないか。街を出ていくのさ。ヴァレンの【遺産】は消えちまった。
  またどこか別の土地で、別のお宝をさがすことにするよ。

 「この街は気に入ってるんだけどね……。
  やっぱり、お宝を求めて世界中を旅するほうが楽しいからね。
  まだまだ、ひとつの場所に腰を落ち着ける気にはなれないのさ。

デューク
 「借金もあるしな!

ベル
 「よけいなことを言うんじゃないよ!
デュークをブッ飛ばす

ミント
 (あいかわらずね、このふたり。

ベル
 「ひとつ言っておくよ、ミント! よくお聞き!
  今度のことでは協力してやったけど
  あたしは、あんたの仲間になったわけじゃないんだからね。
  またどこかで会うことがあったら容赦なくいたぶってやるから覚悟おし!

ミント
 「かまわないわよ〜。もし襲いかかってきたら……。あたしの魔法でボコボコよ!!

ベル
 「…………。

ミント
 「…………。

ベル
 「さよならだよ、小娘! これからも、せいぜい好き勝手に大暴れするがいいさ!

ミント
 「言われなくたって、そーするわ!
  そっちこそ、ふたりでしぶとくがんばりなさいよね〜。

ベル
 「デューク! 行くよ!

デューク
 「へいっ、あねさんっ!

 「元気でな、ミント!


ジャーゲン
 「お客さんも街を出てゆくようですね……。なにかお飲みになりますか?

 「ああ、お代はけっこう。次に来た時にでも払っていただきましょう。

 「機会が会ったら、また飲みに来てください。お待ちしております。

 「この街も、静かになりそうです。


アリーネ
 「あ〜あ……。旅の人たち、みんなどこかに行っちゃうわ。
  うちの店もさびしくなっちゃうわね……。

 「また遊びに来てね。約束よ!
  お客さんの顔をおぼえてたら一杯おごってあげるわ。

 「うちのマスターって、ああ見えてもさびしがり屋なのよね。

 「ねえねえ、クラウスさんちに新しい子供ができたって、本当?


船着き場
ドイル
 「旅立つ船に、神のご加護を祈ろうと思いまして……。

 「あなたに神のご加護を。
  神は、なにもおっしゃいませんがいつもあなたを見守っていますよ。

 「教会は無人ですが、もしお祈りをささげるのでしたら、ご自由にどうぞ。

 「旅のご無事をお祈りしましょう。あなたに祝福あれ……。

 「神はすべて見ておられます。
  せいいっぱい努力したのなら神はかならず助けてくれますよ。


デービス
 「もうすぐ都へ向かう定期船が来るんだ。ひさしぶりに忙しくなるぞ。

 「さて、今度はどんな客がやってくることやら……。
  船から落っこちるようなドジな客がいなければいいが。

 「定期船には、東天王国の王女が乗るらしい。
  だが、それらしい人物はどこにもいないな………。どんな娘なんだろう?

 「船に乗るなら、もたもたするなよ。あまり長時間は停泊しないからな。
  乗りおくれたら、次の船は一週間後だ。


ニール
 「今度は都に行くことにしたよ。めずらしい品物が、たくさん手に入ったからね。

 「実はね……。
  湖の近くを調べていたら、奇妙なアイテムを山のように見つけたんだ。
  たぶん、あの空の城が崩れたときに落ちてきたんじゃないかな。

 「えっ!? 君はあそこにいたのかい!?
  いいなあ……僕も行ってみたかったなあ。

 「えっ!?  モンスターがいっぱいいたのかい!?
  い、行かなくてよかった……。

 「集めたアイテムを元手に都で小さな店を開こうと思うんだ。
  よかったら、買い物に来てよ。


ホテル
じいや
 「おおっ! 姫さま! 2年ぶりでございます!

ミント
 「げげっ! じい!? どーしてここに!?

じいや
 「マヤさまから連絡を受けて東天王国からすっとんでまいりました!

 「姫さま……お会いしとうございましたぞ。
  王国を家出して、2年の間にすっかりたくましくなられて……。

ミント
 「たくましくなった、って……。なんかフクザツね。

じいや
 「さて、姫さま! 2年間の家出は、今日で終わりになさいませ!
  マヤさまとごいっしょに東天王国に帰りましょうぞ!

ミント
 「へ!? 実家に!? そんなのイヤよ!

じいや
 「わがままをおっしゃってはなりません!
  国王陛下も、姫さまに会いたがっておられますぞ!

ミント
 「あのオヤジ……。あたしの王位継承権をあっさり取り消したクセに!

 「とにかくっ! 誰がなんといおうと、あたしは東天王国になんか帰らないわよ!

じいや
 「ここまでお願いしても聞きいれていただけぬとは……。
  これも、じいの不徳のいたすところ!
  おお国王陛下、お許しを! かくなる上は、死んでおわびを!
柱に頭を打ちつけまくる
ミント
 「わ〜〜〜っ!? じい、早まっちゃダメ〜!!

じいや
 「姫さまを連れ帰らずしてはおめおめと生きて帰れませぬ!
  じいは……じいは棺桶に入って帰国いたします!

ミント
 「わ、わかったわよ! 帰ればいいんでしょ、帰れば!

じいや
 「その言葉、本当ですかな? でないと、じいは死んで……。

ミント
 「約束するわよっ!

じいや
 「おおっ! 姫さま! ありがたき幸せ! わかってくださると信じておりましたぞ!

ミント
 (なんか、うまく乗せられた気がするわ……。

じいや
 「マヤさまは、さきほど目覚めてすでに出発の準備を整えております。
  姫さまさえよろしければ今すぐこの街を出発できますがいかがなされますかな?
「すぐ出発できるわ。
ミント
 「すぐに出発できるわ。
  準備するほど荷物はないしね〜。

じいや
 「街の住人に、お別れは
  すませましたかな?
「すませたわ!
ミント
 「だいじょーぶ、お別れはすませたわ!
  あとは出発するだけよ。

じいや
 「では姫さま、まいりましょうぞ!
  さっそくマヤさまを呼んでまいります!

ミント
 「はあ……。まさか実家に
  帰ることになるとは……。
  ま、イヤになったら
  また家出すればいーわね♪
 →≪都行きの船≫

「ちょっと待ってよ!
ミント
 「ちょっと待ってよ!
  あたしにだって、準備ってものがあるわ!

じいや
 「では、じいはここで待っておりますぞ。
  準備ができたら、もどってきてくだされ。
「忘れてた!
ミント
 「あ、忘れてた!

じいや
 「では、急いでくだされ。
  じいはここで待っておりますぞ。
ソーリン
 「ただいま当ホテルには東天王国のマヤ殿下が滞在しております。

 「マヤ殿下は、ご出立の準備中です。ロビーのほうでお待ちください。

 「今日だけは、兄のリーソンにかわってわたくしがカウンターを担当しております。
  たまには気分を変えてみようかと思いまして。

 「実は……兄はマヤ殿下のファンでして。少しでも、おそばに近づきたいようです。


リーソン
 「マヤ殿下は、ご出立の準備中です。ロビーのほうでお待ちください。

 「今日だけは、弟のソーリンがカウンターを担当しております。
  たまには気分を変えてみようかと思いまして。

 「実は……少しでもマヤ殿下のおそばにいたくて……。

 「ええっ!? あなたがマヤ殿下の姉!? そ……そんなバカな!!


じいや
 「姫さま、出発の準備はできましたかな?
「すぐ出発できるわ。
ミント
 「すぐに出発できるわ。
  準備するほど荷物はないしね〜。

じいや
 「では姫さま、まいりましょうぞ!
  さっそくマヤさまを呼んでまいります!

ミント
 「はあ……。まさか実家に
  帰ることになるとは……。
  ま、イヤになったら
  また家出すればいーわね♪
 →≪都行きの船≫
「ちょっと待ってよ!
じいや
 「では、急いでくだされ。
  じいはここで待っておりますぞ。
 

≪都行きの船≫

ミント
 「カローナの街も見えなくなっちゃったか……。

 「おっ、マヤ! 休んでなくていいの?

マヤ
 「ええ、もうだいじょうぶですわ。


マヤ
 「いい風ですわね……。

 「意外ですわ……。お姉さまが東天王国に帰ってくださるなんて。
  お父さまも、きっとお喜びになるでしょう。

ミント
 「オヤジのことを考えるとちょっと気が重いのよね〜。
  家出したあたしがホイホイ帰ったら
  オヤジのおしおきスペシャルが待ってそーでさ……。

マヤ
 「心配はいりませんわ。きっと『ガハハ!』と笑って許してくださいますわ。

 「お姉さまが家出してから2年……。お父さまは、ずっと心配しておられますわ。
  食事の量も昔の半分に減ってしまって……。

ミント
 「半分? あのオヤジがたった5人分しか食べてないの?

マヤ
 「ええ……。最近では口ぐせのように
 『ワシもそろそろ国王を引退しよう』とおっしゃっています。

ミント
 「オヤジが引退……ってことは、今度はあんたが東天王国の女王になるわけ!?
  か〜っ! やってらんないわね〜。

 「ま、せいぜいがんばって女王のつとめを果たすことね!

マヤ
 「…………。

ミント
 「ん?

マヤ
 「実は……その件についてお姉さまに相談があるのです。

ミント
 「へ? なにそれ?

マヤ
 「今度の事件で、わたくしは自分の未熟さを思い知らされました。
  それにブック・オブ・コスモスも魔力を失ってしまいましたから
  自分の力だけで国を治めねばなりません。

 「でも……わたくしにはその自信がないのです……。

ミント
 「…………。

マヤ
 「お姉さま……。こんなことをお願いするのはずうずうしいのですが……。

 「わたくしに、力を貸してください。ふたりで力を合わせて東天王国を統治しましょう!

ミント
 「まさか、あんたの口からそんなセリフが出てくるなんてね……。

 「わかったわ、マヤ。あんたに協力してやるわ!

マヤ
 「ほ、本当ですか、お姉さま!? わたくし、感激ですわ!!

ミント
 「とゆーわけで、これから3年が勝負よ!

マヤ
 「え?

ミント
 「3年かけて改革すれば、東天王国の力は今の3倍……いーえ、10倍になるわ!

マヤ
 「お姉さま、まさか……。

ミント
 「そーよっ! その力で……。世界を征服するのよっ!!

マヤ
 「…………。

 「お姉さま……わたくし、やはりひとりでがんばることにしますわ……。

ミント
 「なぬ!? どーしたのよ、急に!

マヤ
 「あたりまえですっ! わたくしがまじめにお願いしているのに
 『世界を征服する!』なんてたわごとを……。ああっ、頭痛がしますわ!

ミント
 「な〜に言ってるの!
  東天王国を支配するのも世界を支配するのも、たいして変わらないでしょ!

マヤ
 「もうけっこうですっ!
  お姉さまのような危険人物に頼ろうとした、わたくしがバカでしたわ!
  ああもう! バカバカ、わたくしのバカ!

ミント
 「こらぁ、マヤっ!
  人がせっかく『協力してやる』って言ってるのに、その態度はナニよ!
  いいかげんにしないと跳び蹴りかまして泣かすわよ!

マヤ
 「わたくしを泣かせるですって!?
  面白いですわね! その挑戦、受けて立ちますわ!

ミント
 「ほ〜う……いい度胸ね、マヤ! 覚悟しなさい! 地獄めぐりをさせてやるわ!

マヤ
 「そう簡単にはいきませんわ!
  お姉さまごとき、わたくしの魔法でボコボコにしてさしあげます!

ミント
 「ああっ!? あたしのセリフを取るなぁ!

マヤ
 「ほ〜っほっほっほ♪ いい気味ですわね♪

ミント
 「ぐぬぬ……ナマイキな! 今日こそボコボコにしてやるっ!

 「くらえっ!

マヤ
 「甘いですわっ!

ミント
 「なぬ!?

マヤ
 「ていっ!

ミント
 「げふっ!?

マヤ
 「ほ〜っほっほっほ♪

ミント
 「まだまだぁ!

マヤ
 「きゃっ!

ミント
 「うりゃ! うりゃ!

マヤ
 「なんのっ!

ミント
 「げげっ!?

マヤ
 「カボチャ責めですわっ!

  ・

  ・

  ・
 

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