もどる めにゅー つぎへ



さいごのたたかいへ!



≪カローナの街≫

クラウスの店
ミラ
 「行ってらっしゃい、ミントちゃん。
  見ればわかるわよ。あの空の城に行くつもりでしょう。がんばってね。
  かならず無事に帰ってくるのよ。
  ミントちゃんとプリマちゃんのぶんもごはんをつくって待ってるわ。

 「今さらわたしが言わなくてもわかっていると思うけれど……。
  空の城に行く前に、いろいろ準備をすませておきなさい。
  あとで後悔するのはイヤでしょう?

 「気づいていないかもしれないけれどみんながミントちゃんを応援してるわ。
  がんばってね! それから……気をつけてね。

 「ルウ君は、怒りの山へ行ったわ。
 『翼をさがしに行く』って言っていたけれど見つかったのかしら……。


街外れの草原
ロッド
 「安心しな。この程度のダメージなんて2日もスリープすればヒーリングだ。

 「オレ様はデュークを信じるぜ。
  あいつなら、オレ様のマシンを乗りこなせるだろうよ。

 「レッツ・ゴーだぜ、ミント。
  なにが待ってるか知らねぇがナイスガッツでけちらしちまえ。
  今のおめぇには不可能はねぇよ。このオレ様が保証してやるぜ。


ベル
 「マシンの準備は完了さ。いつでも出発できるよ!

ミント
 「これ、ホントに飛べるの?

ベル
 「実は、あたしも不安なんだよ。操縦するのはデュークだしね……。

デューク
 「なに言ってるんですか、あねさん! ロッドのぶんまで、俺はやりますぜ!

ベル
 「どうだかねえ……。

デューク
 「安心しな、ミント。空の果ての天国まで連れてってやるぜ!

ミント
 「そこまで行かなくていーわよ。

デューク
 「行ってきますぜ、あねさん! すぐに帰ってきますんで待っててください!

ベル
 「待ってる? 冗談はおよし! あたしも行くよ!

デューク
 「ええっ!?

ベル
 「言ったはずだよ。『単独行動は許さない』ってね。

デューク
 「あねさん……。

ベル
 「おまえひとりで行かせるなんて危なっかしくて、見られないのさ。

デューク
 「……わかりました。ありがとうございますっ!

ベル
 「さあミント、準備はできているだろうね。あたしらは、いつでも出発できるよ!

 「空に飛び出したら、ケリをつけるまで帰ってこれないぜ。気をつけな!

 「今すぐ出発するかい?
出発する
 「もっちろん、いつでも行けるわ!


ロッド
 「頼んだぜ、デューク!
  オレ様のグレートマシンを
  熱いソウルで乗りこなしてみな!

デューク
 「まかせてくれ、ロッド!
  あんたになりきって操縦するぜ!
  あんたのスカタン号は、俺が……。
  いや、オレ様が預かる!

ロッド
 「スカタンじゃねぇぜ、デューク!
  オレ様のグレートマシンは
  その名もスカーレット……ぐおっ!

ミント
 「細かいことはいーから
  あんたは寝てなさいっ!

 「デューク!
  スカタン号、出発進行よ!

デューク
 「OKッ!!
  スカタン号……レッツ・ゴー!!

ロッド
 「だからスカタンじゃねぇって……。
またあとで
ミント
 「まだ準備できてないの。
  もうちょっと待ってて!

ベル
 「そうかい。だったら
  急いで準備しておいで!


デューク
 「俺にまかせな! ロッドになりきって
  あのマシンを操縦してやるぜ!

 「ウィーラーフは、カノンオーブの他にも
  いろいろ宝をためこんでるらしいぜ。
  もしかしたら、おまえの役に立つ
  魔法を持ってるかもしれないな。

 「ロッドのケガが心配だぜ……。
  あの時、俺がもう少し早く
  着替えていれば……。


ベル
 「さあミント、出発するかい?
 

≪川≫

ミント
 「やけにショボいスピードね〜。ソーサルドライブの音もどんくさいし……。

デューク
 「おかしいな。パワーがアップしねぇぜ! こいつはビッグなクエスチョンだぜ?

ベル
 「これじゃ歩いたほうがよっぽど早いよ。こんなスピードで本当に飛べるのかい?

ミント
 「あっ、わかった! ベルが乗ってるせいで重量オーバーなんだわ!

ベル
 「やかましいっ! デューク! さっさとなんとかおし!

デューク
 「う〜ん……このレバーか? レッツ・トライっ!


ミント
 「…………。止まっちゃったけど。

ベル
 「なにやってんだい! このトンチキ!

デューク
 「す、すみませんっ!

ミント
 「おっ?

ベル
 「なんだい? うまくいったのかい?

デューク
 「もちろんですぜ、あねさん! これでノープロブレムで……。

ミント
 「うひゃあ!?

ベル
 「なんだいなんだい!? 今度は速すぎるよ!? もうちょっとゆっくり走っとくれ!

デューク
 「それが……オレ様にもストップできないんですよぉ!

ベル
 「なんだってえ!?
 

≪ヴァレンの聖域≫

入口
ミント
 「うひゃああああ!?!?


ミント
 「し、死ぬかと思った……。

デューク
 「フッ! スリリングなフライトだったろう。これがオレ様のスーパーテクニックさ!

ベル
 「いつまでロッドになりきってるんだい! このトンチキ!
デュークをブッ飛ばす
デューク
 「ぐわっ!?

ミント
 (……よくやるよ。

 「!?

 「プリマ!!


プリマドール
 「ミント……きてくれたんだね……。

ミント
 「待たせてごめんっ! あたしが来たからにはもう心配いらないからね!

 「ひゃっ!?

 (この子の体、すごく冷たい……!?

プリマドール
 「へへ……ボク、エネルギーが切れちゃったみたいなんだ……。
  湖水の遺跡で封印を解いたせいだと思うけど……。

ミント
 「わかった! わかったから説明なんてしなくていーわ。
  これ以上しゃべっちゃダメ。おとなしく寝てなさいっ!

プリマドール
 「だって……ミントにわたすものがあったから……。
  ねむたかったけどずっとガマンしてたんだ……。

ミント
 「へ?

プリマドール
 「ボクのおまもり、ミントにあげるよ。ボクには、もう用がないから……。

ミント
 「これ、あんたのアミュレットじゃない……。

プリマドール
 「どんな魔法か、ボクにはわからないけどミントなら、きっとつかいこなせるよ。
  がんばってね、ミント。
【黄金の魔法】をゲット!

ミント
 「まかせといて! ドールマスターのやつなんかちゃちゃっとボコボコにしてやるわ。
  なにもかもケリをつけて、いっしょにみんなのところに帰るわよ!
  それまで少しだけ待ってなさい。いいわね!

プリマドール
 「うん……。

 「ふうう……。ミントに会えて、安心したせいかなあ。
  ボク、ねむくなってきちゃった……。

ミント
 「プリマ!

プリマドール
 「おやすみ……。

ミント
 「プリマ!? プリマ!!

ベル
 「あわてるんじゃないよ。

 「エネルギーを節約するためにキューブにもどっただけだよ。
  地上に連れ帰って、ちゃんと処置をすれば、元に戻るはずさ。

ミント
 「…………。

ベル
 「ただ……あまり時間がかかると手おくれになるかもしれないね。

ミント
 「よーするに、ちゃちゃっとケリをつけて地上にもどる必要があるってコトね……。

 「どーにかやってみるわ。

 「ベル……プリマのこと、たのんだわ。

ベル
 「まかせときな。あんたは、なにも心配しなくていい。思いっきり、やっておいで。

ミント
 「うん……ありがと。

ベル
 「じゃ、いってくるね!


聖域内部
ミント
 「お?

 「どーして、このふたつだけ火がついてるんだろ?
  なにか意味があるのかな?


右の部屋
風は小さき炎を助く


左の部屋
小さき炎は緑に宿る


二つ隣の部屋
四つの色が扉を開く


広間
???
 「意外ですね。

ミント
 「なぬ!?

サイコマスター
 「この場所にたどりつくとは思ってもみませんでした。
  あなたの力を見くびっていたようです。

ミント
 「あんたに用はないわ。

 「そこをどきなさいよ!

サイコマスター
 「あなたを、この先に進ませるわけにはゆきません。

ミント
 「さっさと帰れってこと?

サイコマスター
 「ご冗談を。帰すつもりなど、ございません。
  あなたは、わが主の障害になります。
  生かしておくわけにはゆきません。即刻この場で抹殺させていただきます。

ミント
 「げげっ!?

サイコマスター
 「後にも先にも行かせない、ってわけね。

 「進ませはしません。逃がしもしません。
  進もうとするなら抹殺します。逃げようとしても抹殺します。
  どちらを選んでも結果は同じあなたの命は、ここで終わります。

ミント
 「言ってくれるわね〜。あたしを甘く見たら後悔するわよ!

サイコマスター
 「ここまで到達したあなたをあなどるほど愚かではありません。
  私の全能力を解き放ち最大の力で……粉砕します。

ミント
 「なぬぅ!?

サイコマスター
 「では……まいります。

サイコマスターとバトル!
あなたの命運、封じさせていただきます

サイコマスター
 「この私が、むざと敗れるとは……不覚!

ミント
 「よしっ! この調子でドールマスターのやつもボコボコよ!!

 「あんたたちの悪だくみなんて全部あたしがぶっこわしてやるわ!

サイコマスター
 「あなたがいくらあがいてもわが主には追いつけません。

ミント
 「へ?

サイコマスター
 「この先は……絶叫の回廊。ヴァレンが残した最後の関門です。
  あなたの記憶に眠る過去の恐怖がよみがえり、あなたを襲うでしょう。

ミント
 「知ったこっちゃないわね。
  絶叫の回廊だかなんだか知らないけど跳び蹴りかまして突破するだけよ!

サイコマスター
 「ならば挑んでみることです。ですが……その前に!!

ミント
 「あんた、まだ戦う気なの!? そんな体じゃ、あたしを倒せっこないわよ!

サイコマスター
 「…………。

 「知らないのですよ、私は。戦う以外の生き方も戦う以外の死に方も。

ミント
 (こいつ……死ぬ気ね!?

 「あたしの魔法と、あんたの能力。どっちが速いか勝負したいわけ?

サイコマスター
 「勝負は一瞬……一撃必殺。
  敗れた者には死あるのみ。お相手ねがえますか、殿下。

ミント
 「…………。

 「いーわ! 勝負してあげる。
  10からカウントダウンしてゼロと同時に撃ちあう。それでいーわね。

サイコマスター
 「感謝します。

ミント
 「じゃ、行くわよ……10っ!

サイコマスター
 「9。

ミント
 「8っ!

サイコマスター
 「7。

ミント
 「6っ!

サイコマスター
 「5。

ミント
 「4っ!

サイコマスター
 「3。

ミント
 「2っ!

サイコマスター
 「1!

ミント
 「あっ!! 空飛ぶカボチャ!

サイコマスター
 「えっ?

ミント
 「スキありっ!

 「とりゃー!!
跳び蹴りが炸裂!

ミント
 「この程度にひっかかるなんてまだまだ甘いわね〜。

サイコマスター
 「なっ……なぜ……。

ミント
 「気絶したわね……。

 「あんたと決闘してやるほどあたしはヒマじゃないのよね〜。
  なんたって、やることがいっぱい残ってるんだから♪

 「ったく……アタマがカタイやつを相手にすると、いろいろ苦労するわ〜。


ミント
 「この先が、絶叫の回廊か……。
 『過去の恐怖がよみがえる』ってどーいう意味だろ?

 「ま、いーわ! よくわかんないけどどーせたいしたコトないでしょ!
  敵が出てくるならボコボコにするだけよ!


絶叫の回廊
ミント
 「なんだか、おどろおどろしい雰囲気ね……。

 「過去の恐怖、か〜。なにが出てくるんだろ?

 「ううっ、カボチャだけは出てきませんよ〜に!


ヴァレンの間入口
ドールマスター
 「最後の封印は解かれた……。

 「もはや誰にも邪魔はさせん! ヴァレンは覚醒する!!

ミント
 「こら〜っ!!

 「やっと追いついたわよ、ドールマスター! ルウを離しなさいっ!

ドールマスター
 「ほう……殿下か。

 「くっくっくっくっく……。

ミント
 「なにがおかしいのよ!

ドールマスター
 「これが笑わずにいられるか! よもや殿下が私に追いつこうとはな!
  王国を飛び出した時は、生意気な小娘にすぎなかったというのに
  わずか2年で、ここまで成長するとは。
  我が配下をことごとく倒し
  絶叫の回廊まで突破しようとは夢にも思わなかったぞ。

ミント
 「あったりまえでしょ。あたしにはデッカイ野望が……。

ドールマスター
 「デュープリズムを手に入れて世界征服。
  あさましい願いに突き動かされてひたすら進んできたのあろう。
  欲望は人を強くするというが殿下は、さぞや欲が深いと見える。

ミント
 「たしかに、あたしは欲ばりだけどさ。
  だけど、ここに来た理由はそれだけじゃないのよね〜。

ドールマスター
 「その理由とやらを聞きたいものだな。
  もし『愛と正義のため』などという理由であれば……とんだ笑い話だ。

ミント
 「ぜ〜んぜんハズレ! 愛も正義も関係ないわね。正解を教えてあげるわ。

 「あんたは、あたしを怒らせたのよ!

 「あんたのやり方ってば陰険で陰湿で、いちいちムカつくわ!
  マヤのニセモノを仕立てたり
  プリマにヒドイことをしたりカローナの街を襲ったり!!
  あんたみたいな、ふざけたやつは
  ボコボコにしてやらないとあたしの気がすまないのよ!!

 「だいたい、あたしが女王の資格を失って家出するはめになったのは……。
  あんたのセコイ陰謀のせいじゃない!!
  覚悟しなさいっ!! このウラミは100万倍にして返してやるわ!

ドールマスター
 「なに……陰謀だと?

ミント
 「しらばっくれるんじゃないわよ!
  あんたが、マヤをそそのかしてあたしの王位継承権を奪わせたんでしょ!

ドールマスター
 「冗談ではない。私は指一本動かしていない。
  殿下が女王の資格を失ったのは誰の陰謀でもなく、政府の公式な決定だ。

ミント
 「へ?

ドールマスター
 「殿下は行儀が悪すぎたのでな。
  困りはてた大臣たちは正式な会議を開いて……。
  満場一致で決議したのだ。『殿下に女王の資格なし』と。

ミント
 「な……なぬぅ!?

ドールマスター
 「すべて殿下自身の責任だ。自業自得というわけだな。

ミント
 「…………。

 「とにかくっ!! 愛と正義と勇気の戦士・ミント様はあんたを許さないわ!!

ドールマスター
 「ほう。先ほどは『愛も正義も関係ない』と言っていたはずだが。

ミント
 「う……うるさいわねっ!!
  あんたなんかボコボコにして地獄めぐりをさせてやるわ!

ドールマスター
 「わが魔力に挑むとは……無謀の極みだな。

 「よかろう! 叩きつぶしてやろう!!

 「わが使命を完遂するためにな!!

ドールマスターとバトル!
わが使命をはばむ者には死あるのみ!

ドールマスター
 「バカな……この私が!! 私が小娘ごときに敗れるだと!?

 「認めんッ!! 認めんぞ!! 私には果たすべき使命があるのだ!
  敗れるわけにはゆかんッ!!

ミント
 「知るかっ!

 「使命だかなんだか知らないけど……。
  ひとたび、あたしを怒らせたらあんたに勝ち目はカケラもないっ!

 「ボコボコよ!!

ミント
 「とりゃー!
散々ボコボコにした挙句トドメに跳び蹴り!
ドールマスター
 「がああッ!!

 「私の……私の使命が……。

 「私は……なんのために……。


ミント
 「よしっ!  悪は滅びたっ!

 「そうだ!! ルウは!?


ミント
 「ルウ……気絶してるみたいね。

 「こいつを置いてくわけにもいかないか……。

 「こらぁ! ルウ! 起きなさいっ!

 「ダメか……情けないやつね〜。やっぱり置いてっちゃうか。

ルウ
 「ク……。

 「クレ……ア……。

ミント
 「…………。

 「しかたにわね、もう!


ミント
 「あ〜、重かった……。ルウって、けっこう体重あるのね。

 「ったく、のんきな顔で寝ちゃってさ〜。

ルウ
 「クレア……。

ミント
 「安心しなよ、クレアさんのこともなんとかしてあげるって。

 「あたしのデュープリズムでねっ♪ さあ、行くわよっ!


ヴァレンの間
ミント
 「おおっ♪

 「あれが……デュープリズム!!

 「長い道のりだったわ……。ついに! よーやく! やっと! これで!
  世界があたしのモノになるのねっ♪

 「さ〜て、ちゃちゃっとアレをいただいてさっさと帰ろっと♪

???
 「予の魔宝に触れるでない。

ミント
 「へ?

 「うひゃあ!? なななななななななによ!? ナニが出てくるってわけ!?


 「…………。

ミント
 「いきなり出てきて黙ってるんじゃないわよ! 名前ぐらい名乗りなさいよね!


 「予の聖域に立ち入っておきながら予の名を問うのか。

ミント
 「あんたの聖域……ってことは!?

 「あんた……ヴァレン!?

ヴァレン
 「予の尊き名を、軽々しく口にするでない。

ミント
 (じゃあ……こいつがヴァレン!?
  デュープリズムをつくった最大最強のエイオン……。
  ずーっと昔に滅びたはずなのにピンピンしてるじゃない!?

ヴァレン
 「さよう。予の肉体はすでに滅びている。

ミント
 「へ!? あんた、あたしの考えを読んだわね!

ヴァレン
 「予の眼は、そなたの願望も希望も野望も欲望も見通している。
  デュープリズムで世界征服。それが、そなたの願いであろう。

ミント
 「そーよ! なんか文句ある?

ヴァレン
 「くだらぬ。

ミント
 「なぬぅ!?

ヴァレン
 「デュープリズムは予の魔宝……予の力!
  人間のいやしい手には触れさせぬ。
  デュープリズムにこめられたしずくの力を使うのは
  天上天下にただひとり……予だけだ。

 「去れ、人間。ここは、そなたのような人間が入ってよい場所ではない。

ミント
 「去れ、ですって!?

 「勝手なこと言うなぁ!!
跳び蹴りを放つが……
ミント
 「ぎゃぶ!!

 「つ……突き抜けたぁ!?

ヴァレン
 「予の肉体はすでに滅び現世に残るは魂のみ。
  なんぴとたりとも予に触れることはできぬ。しかし……。

 「肉体を持たぬ予は、デュープリズムの真の力を発揮することもできぬ。

ミント
 「だったら、あんたが持ってても無意味でしょ! あたしによこしなさいよ。

ヴァレン
 「その必要はない。

 「予は、新しき肉体を手に入れる。

ミント
 「へ?

 「消え……た?

 「なによ、あいつ!

 「逃げちゃったじゃない! さんざんデカイ口たたいたクセにさ!

 「ま、いーわ! このスキにデュープリズムをかっぱらって、さっさと帰ろっと♪

 「ルウ!?

ルウ?
 「再臨の時は来た……。

ミント
 「は?

ルウ?
 「この人形……予の魂をおさめるよき器となるであろう。

ミント
 「なぬぅ!? もしかして……あんた!

ルウ?
 「さよう……これが予の新しき肉体だ。

ヴァレン
 「新しき肉体を得て、予は現世によみがえる! デュープリズムとともに!

 「今こそデュープリズムの力をふるって大いなる浄化と再生を行うとしよう。
  この古き世界を、光に分解したのち
  デュープリズムに透過させて純粋無垢なる新たな光へと浄化する。
  その清らかなる光を用いて予は、新世界を再生するのだ。
  そして新しくよみがえった世界で……。

 「予は神となる!!

ミント
 「ちょっと待ちなさいよ!
  浄化だか再生だか知らないけどこの世界は、どーなっちゃうのよ!

ヴァレン
 「この古く汚れた世界には一片の価値もない。
  原初の光に還元し、新世界の素材とする。
  すなわち……完全消滅。

ミント
 「か……完全消滅ぅ!?

 「あたしの世界になんてことするのよ!

ヴァレン
 「そなたの世界だと?

ミント
 「そーよ! あたしはいつか世界を征服してやるんだから!
  そう、いつかあたしのモノになる世界……。

 「だったら、あたしの世界でしょーが!

 「それをあんたなんかにぶっこわさせるもんですか!
  これ以上ふざけたことを言ったら跳び蹴りかまして泣かすわよ!!

ヴァレン
 「いやしい人間の分際で、予を侮辱するか。その愚かさ、吐気をもよおす!
  そなたのような人間どものせいでこの世界が、みにくく汚れたのだ。

 「存在そのものが、けがらわしい。罪深き人間めが……滅せよ!

 「あかつきの露よ! 守護の光となれ!

 「たそがれの露よ! 浄化の光となれ!

 「そなたの罪を浄化する。けがれた命を露と散らして光の果てに消えてゆけ。

ミント
 「やれるものなら、やってみろっ!!
  返りうちにして、地獄めぐりをさせてやるわ、ヴァレン!!

ヴァレンとバトル!

ミント
 「あたしの魔法にかかればざっとこんなもんよ!

ヴァレン
 「あかつきの露を打ち砕くとは……。人間ふぜいが、あがくものよ。

 「ならば、この新しき肉体の力をふるって
  予みずからの手で、そなたを斬り捨てる!
  たわむれは終わりだ。

 「これは……?

ミント
 「なにが起こってるの……?

ヴァレン
 「人形の肉体が予の魂を拒むのか!?

 「違う! これは……。

 「もうひとつの、魂!?

ミント
 「クレア……さん?

ヴァレン
 「おのれ……この人形、もはや役に立たぬか!

ミント
 「よくわかんないけど……。大ピンチみたいね、ヴァレン!
  もうあんたにチャンスはないわ!
  とっととカンネンしてデュープリズムを渡しなさいっ!

ヴァレン
 「こしゃくな……。

ミント
 「怒ったってムダよ。体がなければなんにもできないでしょ。

ヴァレン
 「なにもできぬだと……? ならば受けてみよ!

ミント
 「うひゃあ!?

ヴァレン
 「予は最大最強のエイオン!
  たとえ肉体を持たずともそなたごときに、ひけはとらぬ!

 「浄化の光に融解せよ!

ミント
 「ひ〜〜〜っ!?


ヴァレン
 「ブック・オブ・コスモスだと!?

マヤ
 「危ないところでしたわね、お姉さま。

ミント
 「マヤ!? あんた、どーしてここに……。

マヤ
 「もちろん、お姉さまの暴走を止めるためですわ。
  お姉さまのような危険人物が【遺産】を手に入れたら世界の危機ですもの。

ミント
 「か〜っ、言ってくれるわね〜。

マヤ
 「ですが、ヴァレンはお姉さま以上の危険人物ですわ!
  お姉さま! わたくしたちの力でヴァレンを倒しましょう!

ミント
 「あんたと力を合わせる、か……。

マヤ
 「おいやですか?

ミント
 「あたしも同じ考えよ!
  あたしたちの意見が合うなんてめずらしーこともあるもんだわ〜。

マヤ
 「もしかすると最初で最後かもしれませんわ。

ミント
 「だったら、うまくやるわよ!!

 「と、ゆーわけでっ!
  あたしたちの力を見せてやるわ! 覚悟しなさいっ、ヴァレンっ!

マヤ
 「あなたのデュープリズムに比べればブック・オブ・コスモスは低級の【遺産】。
  ですが、肉体を持たない今のあなたはデュープリズムをあやつれません!
  あなたに勝ち目はありませんわ!

ヴァレン
 「そなたらはデュープリズムの真の力を知らぬ。

 「肉体なき予には使えぬが……デュープリズムは、そこにある。

ミント
 「あっても使えなければ宝の持ちぐされね!

ヴァレン
 「力の結晶たるデュープリズムはあらゆる光の流れをあやつる魔宝。
  デュープリズムを透過した光は大いなる魔力を得て新生する。
  …………ならば!

 「予は、この古き姿を捨てて光となろう!
  光となりてデュープリズムを透過すれば
  予は、新しき神の光として再生する!!
  もはや予を止められぬ。予は光に還りデュープリズムとひとつになる!!
  予はまさに究極の光輝となりて炎天のもとに降り立つであろう!!


ミント
 「なによなによ、どーなってんの!?

マヤ
 「ヴァレンは、デュープリズムと融合するつもりなのです!!

ミント
 「よくわかんないけど……。よーするに、めちゃめちゃヤバイわけね。

マヤ
 「はい……。あれは……悪魔を生む光……。

ミント
 「マヤ! あんたのブック、あたしに預けて。

マヤ
 「えっ!?

ミント
 「ヴァレンがデュープリズムと融合するならこっちもブックを利用するのよ!
  あたしの魔法とブックの魔力を組み合わせて戦えば
  どーにかなるかもしれないわ。

マヤ
 「ですが……うまくゆくでしょうか!?

ミント
 「やってみなくちゃ、わかんないわね。
  だけど……あいつを倒す方法はたぶんそれしかないと思うのよね〜。
  あんたはどう思う?

マヤ
 「わたくしも、お姉さまと同意見です。他に方法はないでしょう。

ミント
 「意見が合うのは、これで2度目ね。な〜んだ、けっこう気が合うじゃない。

マヤ
 「ふしぎなものですね……。

ミント
 「うひゃあ!? なによなによ!?

マヤ
 「おそらく魔力の暴走現象ですわ!
  デュープリズムの力が強すぎてヴァレンにも制御できないようです!
  空間が、ゆがみ始めています。このまま放置すれば、最悪の場合……。

ミント
 「説明はそこまでっ!

 「よーするに、とっととあいつを倒せってことでしょ!

マヤ
 「では、お姉さまっ! ブック・オブ・コスモスの魔力をお預けします!
  ぞんぶんに使いこなして……ヴァレンを滅ぼしてください!!

ミント
 「まかしとけっ!!

ミント
 「ケリをつけてやるわ、ヴァレンっ!
  デュープリズムだかなんだか知らないけどあたしの魔法で……いいえっ!

 「あたしたちの力で……。

マヤ
 「わたくしどもの力で……。

ミント&マヤ
 「ボコボコよっ!!
 「ボコボコですわっ!!

ヴァレンとバトル!

ヴァレン
 「おのれ……!!

ミント
 「やった……やったわ♪ これでデュープリズムはあたしのものよっ♪



ミント
 「げふっ!?

 「いでででで……。

 「ん?

 「なぬ〜〜っ!?!?

 「な、ない……。デュープリズムがないっ!?

マヤ
 「おそらく異なる次元に消失したのでしょう。
  もう誰もデュープリズムに手を出すことはできませんわ。

ミント
 「へ?

 「よーするに……。消えちゃった、ってこと?

マヤ
 「ええ、そうです! 世界は、ヴァレンの魔の手から救われたのですわ!

ミント
 「じゃあ、あたしの夢はどーなるのよ!? 世界征服の野望は!?

マヤ
 「世界は、お姉さまの魔の手からも救われたようですわね。

ミント
 「そ、そんな……。あたしの野望が……。世界征服の夢が……。

 「ぐぬぬぬ……。

 「イヤだっ! 冗談じゃないっ!! こんな展開、納得できないわ!!


マヤ
 「あの……お姉さま? なにをなさっているのです?

ミント
 「よくさがせば、デュープリズムのカケラぐらい落ちてるかもしれないわ!
  ほら、なにボサッとしてるのよ! あんたも、さがすのを手伝いなさい!

マヤ
 「…………。わが姉ながらあきらめの悪い人ですわ。

ミント
 「お?

マヤ
 「この音は……。

ミント&マヤ
 「うひゃあ!?
 「きゃっ!?

マヤ
 「お姉さま、逃げたほうがよさそうですわ!

ミント
 「あたしのデュープリズム……。床のすきまに落ちてないかな?

マヤ
 「みみっちいマネは、およしになって! とっとと逃げますわよ!

ミント
 「ふ〜…………。

 「しかたないわね……逃げるわよ! あんたのブックの魔力で出口までもどりましょ!

マヤ
 「え?

ミント
 「ヴァレンとの戦いで、ブックの魔力をかなり使ったみたいだけど……。
  帰るための魔力ぐらいはちゃんと残してあるんでしょ?

マヤ
 「あ。

ミント
 「あんた……まさか……。もしかしてっ!?

マヤ
 「帰るときのことなんてすっかり忘れておりましたわ!?
  ブックの魔力は、すべてお姉さまに渡してしまいました!
  ブックの魔力はカラッポですっ!

ミント
 「なぬー!?

マヤ
 「バカバカ、わたくしのバカ!

ミント
 (しっかりしてるよーに見えてまだまだ甘いわね〜。

マヤ
 「ああっ、お姉さま! わたくしたち、これからどうすれば!?

ミント
 「そんなの決まってるわ!
  ブックを使えないってことは自分の足でもどるしかないわ! だけど……。

 「こいつをかついで走るとなるとかなり時間がかかりそうね……。

???
 「俺にまかせなっ!

ミント
 「デューク!?

デューク
 「帰りが遅いから迎えに来てやったのさ。あねさんが待ちくたびれてるぜ!

ミント
 「そっか……助かるわ! じゃあ、ルウのやつを運んでちょーだい!

デューク
 「おうっ、まかせとけ!

マヤ
 「きゃっ!?

ミント
 「ロコツにヤバいムードになってきたわね〜。

デューク
 「悪の親玉をやっつけたら、悪の本拠地もくずれ落ちる……それが物語のお約束さ。
  さあ、脱出しようぜ!!


ヴァレンの間入口
ミント
 「う〜……。

マヤ
 「お姉さま、どうかなさいました?

ミント
 「な、なんでもないわ……。 行きましょっ!!


広間
デューク
 「出口まで、まだ遠い! 急ぐぜっ!

マヤ
 「お姉さま! 早く!

ミント
 「そ……そーだね……。

マヤ
 「お姉さま!?

 「ひどい顔色ですわ……!

ミント
 「た、たいしたことないわ……。少し、つかれただけよ……。

マヤ
 「もしやヴァレンとの戦いのせいで……。

ミント
 「かもね……。ちょっとはりきりすぎたかな……。

デューク
 「だいじょうぶか、ミント!?

 「とても歩けそうにないな。まずいぜ。
  いくら俺でも、ルウとミントを両方かつぐのは無理だ!

ミント
 「あたしはそんなに重くないわよっ……。

マヤ
 「お姉さまのことはわたくしにまかせてください。
  あなたはルウをつれて、早く出口へ!!

デューク
 「えっ! 待ってくれよ! ミントを置いていくなんて……。

マヤ
 「あなたは、動けないルウをかかえているのですよ!
  ここで立ち止まっている余裕など、ないはずですわ!

デューク
 「…………。

マヤ
 「すぐに追いつきます!! 急いでください!

デューク
 「……わかった。後から追いついてくるんだな。その言葉、信じるぜ。

 「待ってるからな!

ミント
 「なにやってんのよ……。
  あたしはひとりでどーにかするからさっさと逃げなさいよ……。

マヤ
 「倒れたのが、わたくしの方だったら置いてゆきますか、お姉さま?

ミント
 「あったりまえでしょ……。
  あんたなんか、ほったらかしてあたしひとりで逃げるわよ……。

マヤ
 「では、わたくしは逃げません。わたくし、お姉さまのような性格ではありませんから。

ミント
 「ったく、かわいくない妹ね……。

マヤ
 「じっとしていてください。魔法で治療しますから……。

 「はっ!?
モンスターが現われる!


入口
ベル
 「遅いっ! 遅いよ! ミントのやつはなにしてるんだい!?
入口も崩れ始める

ベル
 「うわっ!?

デューク
 「あねさんっ、ケガはないですかいっ!?

ベル
 「…………これまでのようだね。

デューク
 「あねさん?

ベル
 「デューク……。脱出するよ!

デューク
 「え……ええっ!? ミントたちを置いてけぼりにするつもりですかい!?
  あねさんの命令でもそれだけは納得できませんぜ!

ベル
 「つべこべ言うんじゃないよ! これ以上待ってたらあたしらまで危ないんだっ!!

デューク
 「でも……あと10分! いえ、あと5分だけ待ちましょう!

ベル
 「…………。

 「あたしひとりなら、待つさ……。

 「あたしだってミントが心配だよ! いつまでも待っててやりたいさ! だけどね!!

 「今のあたしは、命を3つも預かってる! ルウとプリマドール、それにおまえの命さ!
  あたしには責任があるんだ!
  おまえら3人とも生きて帰るために状況を冷静に判断する責任がね!!
  その責任をおっぽりだして感情に流されるわけに行かないんだよ!

デューク
 「あねさん……。

ベル
 「だから……逃げるんだよ。
  ミントたちが自力だなんとかするのを信じるしかないのさ、あたしは!

デューク
 「…………すいません、あねさん。
  俺、あねさんの気持ちもわからないででしゃばったことを言っちまいました。

ベル
 「いいんだよ、デューク……。

デューク
 「わかりました! 脱出しましょう! スカタン号をスタンバイします!

ベル
 「ミント……死ぬんじゃないよ!


広間
マヤ
 「えいっ!

 「これで20匹……。きりがありませんわ!

更にモンスターが現われる!

マヤ
 「しつこいですわね!

 「このっ!
ブック・オブ・コスモスを投げつける!

マヤ
 「危ないところでしたわ……。

 「あら!?

ミント
 「なに、この光?

マヤ
 「もしや……ショックを与えたせいでブックに残った魔力が反応したのでは!?

ミント
 「ホント!?

マヤ
 「確証は持てませんが……。さらに衝撃を加えれば大きな魔力を引き出せるかも!

ミント
 「だったら、あたしの跳び蹴りでっ!!

 「うぐぐぐぐ……。ぱ、パワーが足りないわ……。

マヤ
 「お姉さま、ここはわたくしが!

 「行きますわよ、ブック・オブ・コスモス!

 「てやっ!
マヤの跳び蹴りが炸裂!
ミント
 「げっ!?

マヤ
 「えいっ! えいっ! えいっ!
更に踏み付けまくる!

ミント&マヤ
 「おおっ!?
 「きゃっ!?

マヤ
 「やりましたわ、お姉さま♪

ミント
 「そいつはめでたいけど……。
  あんたって、あたしが家出してるうちにずいぶんムチャするよーになったわね〜。

マヤ
 「それはもう、お姉さまの妹ですから。

ミント
 「いい姉を持ったことを感謝しなさいよ!

マヤ
 「もちろん! 骨身にしみるほど感謝していますわ。

 「さ、お姉さま! おしゃべりはこれぐらいにして、脱出しましょう!!

ミント
 「たのんだわ、マヤ!

マヤ
 「ブック・オブ・コスモス! 最後の使命を与えます!!
  残った魔力をついやしてわたくしたちを地上に運びなさい!
 

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