もどる めにゅー つぎへ



マヤなんかボコボコよ!



≪カローナの街≫

クラウスの店
エレナ
 「ミントさん、おねがいです。プリマドールさんをたすけてあげてください!

 「ベルさんとデュークさんが、街の人を守ろうとしてケガしちゃったんです。
  やっぱり、ふたりともいい人なんですねえ……。

 「ドールマスターって人が来たときわたし、こわくてこわくて……。
  ふとんにもぐって、ふるえてました。そしたらプリマドールさんが……。

 「プリマドールさんがさらわれてお父さん、元気がないんです……。


店の地下
クラウス
 「プリマドール君は無事だろうか……。

 「ミント君……もう君に頼むしかない。プリマドール君を助けてやってくれ。

 「プリマドール君を守れなかった……。私は……父親失格だ……。


酒場
アリーネ
 「いらっしゃい! ゆっくりしてってね♪

 「クラウスさんの家が、急に静かになっちゃったのよ。
  プリマドールちゃんの声が聞こえないのよね……。

 「エレナの元気がないのよ。
  あの子、プリマドールちゃんをかわいがっていたから……。

 「今まで、なんの事件もなくて退屈してたけど……。
  最近は、とんでもない事件が続いてついていけないわ。
  退屈でも、平和なほうがいいわね。


船着き場
デービス
 「こんなところに来るってことはカローナの街から逃げ出す気だな?
  残念だが、定期船はまだ来ないぜ。
  逃げたければ、そこらの小船を使ってもらうしかないな。
  あんな船じゃ、そう遠くへは逃げられないがな。


噴水広場
マヤの塔に出発しようとする
ミント
 「待ってなさいよ、マヤ!
  あたしの愛のおしおきをたっぷりお見舞いしてやるわ!

 「なぬ!?  地震!?
 
 

≪湖水の遺跡≫

ドールマスター
 「プリマドールよ!【遺産】への扉、今こそ開いてもらうぞ。

プリマドール
 「…………。

ドールマスター
 「私に逆らいたければ、そうするがいい。だがその時は、カローナの街は……。

 「皆殺しだ!

プリマドール
 「…………。

ドールマスター
 「儀式を始めろ、プリマドール。おまえはこのためにつくられたのだ。
  道具としての使命、見事に果たしてみよ!

プリマドール
 「ボクは道具じゃないっ!

ドールマスター
 「ならばカローナの街は滅ぶ。

プリマドール
 「うっ……。

ドールマスター
 「あきらめろ。道具は道具、人形は人形なのだ。
  その宿命から逃れることなどできん。
  道具として、人形として生まれたのならそのように生き、そのように死ぬだけだ。

プリマドール
 「…………わかったよ。ボク、封印を解く。

 「だけど……。

ドールマスター
 「どうした。

プリマドール
 「おまえなんか、ミントにボコボコにされちゃえ!

ドールマスター
 「…………。

プリマドール
 『かの高き光の底に眠る者よ。古の盟約に従いて呼ばわるはその遺したるしもべ』
 『かの深き夜の底に眠る者よ。
  われ、時を断つ剣となりて其がためのあけぼのとならん』

ドールマスター
 「ついに……ついに現われるぞ!
  究極至高のエイオン・ヴァレンが【遺産】を抱いて眠る天の城……。

 「ヴァレンの聖域が。
 

≪カローナの街≫

噴水広場
ミント
 「なによ、あれ……。

ルウ
 「きっと、湖水の遺跡の封印が解除されたんだ。

 「プリマドールは、やつらにおどされて封印を解いてしまったんだと思う。

ミント
 「じゃあ、あれがヴァレンの……。ってことは、あそこに【遺産】が眠ってるのね!

ルウ
 「【遺産】は……やつらの手に落ちる。
  僕らのやってきたことはみんな無駄になってしまった……。

ミント
 「な〜に言ってんの! ふぬけた弱音を吐いてんじゃないわよ。
  あんたホントに、クレアって人を助ける気があるわけ?

ルウ
 「な……!? あたりまえじゃないか!!

ミント
 「だったらどーして『ムダ』なんて言うのよ!
  ちょっとヤバいことになったぐらいであきらめるなんて、気合が足りないわ!
  ホントに助けたかったら最後まで絶対にあきらめないはずでしょ!

ルウ
 「それは……。

ミント
 「あたしは、あきらめないからね。プリマを助けて、【遺産】も手に入れてやるわ!
  もちろん最後は世界を征服してハッピーエンドになだれこむわ!

ルウ
 「…………。

ミント
 「あたしは勝手にやるからね!
  あんたはひとりでいつまでも迷ってイジイジしてなさい!


ルウ
 「絶対にあきらめない、か……。


船着き場
デービス
 「地震が起こって、空に妙な城が現われた後川の水がにごり始めたんだ。
  どうも湖の方から、にごり水が流れ込んできたらしいが……。
  湖水の遺跡で、なにが起こったんだ?

 「あの空の城は、都からも見えるのだろうか?
  もし見えていれば、今ごろ大騒ぎだな。物好きな連中が見物に来るかもしれん。

 「俺はこの街の静けさが気に入っていたんだが……。
  まさかこんな大事件に巻きこまれるなんて夢にも思っていなかった。
  

≪メルのアトリエ≫

メル
 「湖水の遺跡の封印が解かれたわね……。
  ヴァレンの【遺産】が目覚めるわ……。

 「プリマドールのモデルは 『ヴァレンの人形』よ。
  地下迷宮の大魔導士エルロイは
  ヴァレンの記録を研究してプリマドールをつくったのね。

 「妹さんに会って、真相をたしかめることね。
  わたしから言えることはそれだけよ。
 

≪マヤの塔≫

入口
ミント
 「おっ!?

 「ったく、悪趣味な塔ね〜。マヤの性格の悪さが、にじみ出てるわ。

 「待ってなさいよ、マヤ! 愛のおしおきをしてやるわ!!


テラス
???
 「よぉ! ミント!! ノコノコとブッ殺されに来やがったな!

ミント
 「出たわね、ハリネズミ!!

トラップマスター
 「ヘンなアダ名で呼ぶんじゃねえッ! ッたく、最後までムカつく野郎だぜ!

ミント
 「最後?

トラップマスター
 「ヘッ! そーとも、最後だとも!
  テメエはこれからオレにブッ殺されるんだからよォ!!
  テメエの不愉快なツラを見るのもこれで最後だ!

ミント
 「よく言うわよ。
  いつも殺す殺すってうるさいけどあんたって、すぐに逃げ出すじゃない。

トラップマスター
 「安心しろや! 今日という今日は、途中で勝負を降りたりしねーよ!
  今のうちにカミサマに祈っときな! テメエなんざ5秒であの世行きだ!
  いいか! テメエ……。

ミント
 「ギタギタのゲドゲドのズタボロにして跳び蹴りかましてボコボコよ!

トラップマスター
 「なにィ!? テメエ、よくもオレのセリフを!!

ミント
 「まだまだ甘いわね〜。

トラップマスター
 「テメエ……!! キレたぜ! ブツっとキレたぜ!!
  地獄の底までブッ飛ばしてやるッ!

トラップマスターとバトル!
地獄の果てまでブッ飛べ!


ミント
 「ざっとこんなもんね♪ あたしの実力、思い知ったかっ!

トラップマスター
 「冗談じゃねーぜ、チクショウ……。
  このオレが……トラップマスター様がマジでギタギタにされちまった……。

 「ケッ! ヤメだヤメだ、お手上げだ!
  オレの力じゃテメエに勝てそうにねーや!
  キレイさっぱりカンネンしたぜ。さっさと、とどめを刺しやがれ!


トラップマスター
 「……言っとくが、魔法はダメだからな!
  ここまで歩いて来て、直接ブン殴れよ!

ミント
 「魔法はダメ、ってあたりがロコツにあやしーわね。

トラップマスター
 「ぐ!?

ミント
 「あんた、なんかワナをしかけたでしょ!
  あたしが歩いていったら、ドカンと大爆発するよーなワナを!

トラップマスター
 「ギャハハハハハッ! やっぱりバレやがったか!
  いいアイディアだと思ったんだけどよ!

ミント
 「さっき言ったでしょ。あんた、まだまだ甘いのよ。
  顔を洗って出直してきなさいよ。

トラップマスター
 「おい! どこ行きやがるんだ! まだ話は終わってねーぞ!

ミント
 「な〜に言ってんの。バッチリ終わったでしょ。

トラップマスター
 「オレは負けたんだぜ!? とどめを刺さなくていーのかよ!?

ミント
 「とどめ? バカらしいわね。
  あたし、あんたを始末したくてバトルしたわけじゃないもん。
  あんたをボコボコにしたのはあたしの邪魔をしたからよ!

トラップマスター
 「…………。

ミント
 「あんたはもうギタギタのズタボロであたしの邪魔なんかできないわ。
  あたしにとっては、それで充分よ。とどめなんて、どーでもいーわ!

 「だいたい、あたしは忙しいのよ。
  マヤをボコボコにするだけじゃなくてプリマだって助けないとね。
  だから、あんたと遊んでいるヒマなんかないのよね〜。

トラップマスター
 「……オレを生かしておけばしつこくテメエを邪魔するかもしれねーぜ。

ミント
 「勝手にしなさいよ。その時は、またボコボコにしてやるわ!

トラップマスター
 「ケッ! ほざきやがって! あのツラ、いつかギタギタにしてやるッ!


トラップマスター
 「カッコ悪いな、チクショウ。これじゃ、まるっきりオレの完敗じゃねーか……。


広間
ミント
 「こら〜っ! マヤぁ!!
  いるのはわかってるのよ! さっさと出てきなさい!

マヤ
 「ていっ!

ミント
 「なぬ!?

 「あ、あぶないわね!

マヤ
 「あ〜ら、惜しかったですわね。
  もう少しで、お姉さまをペタンコにできましたのに♪

ミント
 「しばらく見ないうちにやけに下品になったじゃない。いったい誰に似たわけ?

 「もちろん、お姉さまに決まってますわ♪ は〜っほっほっほ!

ミント
 「ぐぬぬ……言わせておけば!

マヤ
 「で、お姉さま? 今日はどんなご用でいらしたのかしら?

ミント
 「決まってるでしょ! プリマを助けに来たのよ。

マヤ
 「それなら一足おそかったですわね!
  プリマドールは、もうこの塔にはおりませんことよ。

ミント
 「やっぱり……。湖水の遺跡に連れていったのね。

マヤ
 「まぬけなお姉さまにしては的確な判断ですわね!

 「その通りですわ。
  プリマドールはつい先ほど湖水の遺跡の封印を解除しました。
  お姉さまも、空に浮かぶ城をごらんになったでしょう?
  そう……あれこそがっ!!
  最大最強のエイオン・ヴァレンが眠りつづける天の城!
  その名もヴァレンの聖域ですわ!

ミント
 「ヴァレンの聖域!? そこに【遺産】があるってわけね。

マヤ
 「ええ、そうですわ。
  ヴァレンの魔力が生み出した究極至高の魔宝……その名もっ!!

ミント
 「そそそそその名は!?

マヤ
 「ヒ♪

 「ミ♪

 「ツ♪

 「ですわね♪

ミント
 「こ……こいつ……。

マヤ
 「ほ〜っほっほっほ! 残念でしたわね!
  スットコドッコイのお姉さまには【遺産】の正体は教えられませんわ!

ミント
 「誰がスットコドッコイだっ!
  もう許しやしないわ。あんたなんかボコボコにしてやるっ!
  ブック・オブ・コスモスがあるからって調子に乗るんじゃないわよ!

マヤ
 「なにをおっしゃいます。
  お姉さまごときと戦うのに、ブックを使うのはもったいのうございますわ。
  ブックなど使わず、わたくしの力だけでギタギタにしてさしあげます♪
ミント
 「なぬ!? あたしもナメられたわね……。

 「いーわ! やってやろうじゃない!
  その言葉、後悔させてやるから覚悟しなさい!

マヤ
 「ほ〜っほっほっほ! 返りうちにしてさしあげますわ♪

マヤとバトル!
カボチャ責めですわ♪


マヤ
 「そんな……このわたくしが敗れるとは……。

ミント
 「あったりまえでしょ。
  ブックなしで、あたしに勝てるわけないじゃない。あきらめなさい!

マヤ
 「誰があきらめるものですか! お姉さまになど、絶対に負けません!

ミント
 「ふーん……。

マヤ
 「あ……あの!? お姉さま、どこへ行くのです?
  まだ勝負は終わっていな……。

ミント
 「くらえっ! 愛のおしおき!!
跳び蹴りが炸裂!

マヤ
 「な……なんてこと……。

ミント
 「この程度の攻撃をかわせないなんてあんたもまだまだ甘いわね〜。

 「これで勝負はついたわね。いろいろ聞かせてもらうわよ、マヤ!

 「へ?

 「ど、どーしたのマヤ!? あんた輝いてるわよ!?

 「なぬぅ!? 変身したぁ!?

 「あんた……マヤじゃ、ないわよね……?


 「やるわね、ミント。こんなに早く正体がバレるとは思ってもみなかったわ。

ミント
 「正体? バレる? どーいう意味よ!?
  わけがわかんないわ! あんた、いったいなんなのよ!?


 「ならば名乗りましょう。私の名はモードマスター!
  ドールマスター様のもっとも忠実な部下よ。

ミント
 「ドールマスターの? それがどーしてマヤなんかに変身してるのよ!

モードマスター
 「あなたに話す必要はないわ。

ミント
 「だったら、力ずくで聞いてやるわ!

モードマスター
 「正体を見やぶられたとはいえまだ負けたわけではないわ。
  私にはまだ切り札があるのよ。

ミント
 「あっ!? 待てっ!?


牢屋
ミント
 「なぬ!?

 「マヤが、ふたりいる!?

マヤ(両方)
 「お姉さま!?

マヤ(右)
 「わたくしを、助けに来てくださったのですね!

マヤ(左)
 「ああっ、お姉さまったらなんて心やさしいんでしょう!

マヤ(両方)
 「それなのに、わたくしは今までお姉さまにさんざんひどいことを……。

マヤ(左)
 「お姉さまをイビり!

マヤ(右)
 「牢屋に閉じこめ!

マヤ(左)
 「さらにカボチャ責め!

マヤ(右)
 「これまでの行動を思い出すとはずかしくて頭痛がしますわ!

マヤ(両方)
 「バカバカ、わたくしのバカ!

ミント
 「が〜〜〜っ!! ふたりいっぺんにしゃべるなぁ!

 「あんたたちのうち、どっちかはモードマスターの変身でしょ!
  あきらめて正体を見せなさい!

マヤ(右)
 「もちろん、わたくしこそ本物ですわ!

マヤ(左)
 「なにを言うのです! わたくしが本物のマヤです!

マヤ(右)
 「まあ! ニセモノのくせになんと態度が大きいのでしょう!

マヤ(左)
 「そちらこそ、わたくしの姿をまねるなどずうずうしいにもほどがありますわ!

ミント
 「だ・か・ら! ふたり同時にしゃべるなぁ! あ〜〜〜っ! うっとうしい!!

 「こーなったら、あたしが正体を見やぶってやるわ!


マヤ(右)
 「お姉さまなら、わたくしが本物だとわかってくださるはず!
  わたくし、信じておりますわ!


マヤ(左)
 「お姉さまの判断におまかせします。でも、これだけは言わせてください!
  本物は、わたくしです!

ミント
 「これでわかったわ! ニセモノは……。

ミント
 「あんたよ!

マヤ(左)
 「え!? ちょっと待っ……。

ミント
 「問答無用っ!!

モードマスター
 「くっ!? なぜ見やぶれたの!?
  私の変身は完全だったのに……。

ミント
 「見やぶったわけじゃないのよね。
  テキトーにブン殴っただけなのよ。

モードマスター
 「ええっ!?

ミント
 「ハズれたら、両方ともブン殴れば
  いーじゃない。

マヤ
 「…………。
  わが姉ながらおそろしい人ですわ。

ミント
 「さ〜て、正体もわかったことだし……。

マヤ
 「ニセモノには、キツ〜イ罰が必要ですわね!

モードマスター
 「うっ……!?

ミント
 「あんたよ!

マヤ(右)
 「え!? ちょっと待っ……。

ミント
 「問答無用っ!!

マヤ
 「なにをなさるのです!!

ミント
 「んげ!?

 「いでででで……。
  その性格……あんた、本物のマヤね!

マヤ
 「先ほどから、そう言っていますわ。

ミント
 「と、いうことは。

マヤ
 「ニセモノは……。

マヤ(ニセモノ)
 「うっ……!?
 
モードマスター
 「ドールマスター様、お許しください……。

ミント
 「ドールマスター、か……。どーやら、あいつが黒幕らしーわね。
  あんたたち、なにをたくらんでるわけ? じっくり聞かせてもらうわよ!

マヤ
 「それは、わたくしから話しましょう。

 「ドールマスターは……。あの男は、わたくしを利用したのです。
  いえ……わが東天王国そのものをおのれの野望のために利用したのです!

ミント
 「…………。

マヤ
 「以前から、あの男は湖水の遺跡に眠るヴァレンの【遺産】を狙っていたようです。
  わが東天王国の宮廷魔術師として
  忠実につかえるふりをしていたのもきっと、その野心のため……。
  東天王国は、エイオンの【遺産】を守護する使命を
  おびた国ですから世界中から【遺産】の情報が集まります。
  あの男、なにくわぬ顔でわが国にいすわり
 【遺産】の情報を集めていたのでしょう。そして、わたくしは……。

ミント
 「あいつの野望を見やぶるどころかすっかり信頼してたんでしょ。
  ったく、あんたの目はフシ穴ね〜。

マヤ
 「自分の未熟さが恥ずかしくて頭痛がするほどですわ!
  わたくし、完全にだまされておりました。
  あの男を信頼しきって【遺産】の情報をすべてまかせていたのですから!
  お姉さまの情報も、あの男から聞いたのですよ。

ミント
 「あたしの情報!? なにそれ?

マヤ
 「お姉さまが、湖水の遺跡の封印を解こうとしている、という情報ですわ!
  その情報を聞いた時は、わたくしも頭に血がのぼりましたが、
  今思えばそれもあの男の作戦だったのかも……。

ミント
 「あんたをカッカと興奮させて冷静な判断力をうばおうとしたのね。
  で、あんたは見事にひっかかって急いで国から駆けつけ、
  湖水の遺跡であたしをカボチャ責めにした、と。

マヤ
 「そのあと、あの男たちは湖水の遺跡の封印を解こうとしたのです。
  もちろん、わたくしは反対しました。ですが……。

ミント
 「ドールマスターは、あんたを牢に閉じこめモードマスターを替え玉にしたわけね。

マヤ
 「あっという間にブックをうばわれてどうしようもありませんでした……。

ミント
 「ひっかかるあんたも甘いけどドールマスターも、セコいことするわね。

???
 「あなたたちに、なにがわかるというの!

ミント
 「モードマスター!?

モードマスター
 「あなたたちには、あの方が背負っている宿命の重さなんて永久にわからないわ!
  あの方は……ドールマスター様は誰よりも深い苦悩をかかえているのよ。
  それを、それを……。


???
 「やめとけや、アネキ。

ミント
 「なによ、あんた。さっそくあたしの邪魔に来たわけ!?

トラップマスター
 「そんなんじゃねーよ!
  王女さまに、返すものがあるだけさ。おらよ。ブック・オブ・コスモスだ。

ミント
 「ミョ〜なことするわね。
  ブックを使って、あんたたちやドールマスターをボコボコにしちゃうわよ。

トラップマスター
 「ムダだね! そんな【遺産】じゃドールマスター様には手出しできねーよ。
  ドールマスター様は、もうすぐヴァレンの聖域の奥に眠る【遺産】に接触するからな。
  そうすればドールマスター様は無敵だ!!
  ブック程度のヘボい【遺産】が束になっても、止められやしねーぜ!

マヤ
 「彼の言う通りですわ。
  最大最強のエイオンであるヴァレンの【遺産】は、まさに究極至高の魔宝。
  ブック・オブ・コスモスの力ではとても対抗できないでしょう……。

ミント
 「げげっ、ホント!?

モードマスター
 「これであの方の悲願はかなう……。デュープリズムさえ手に入れば!

ミント
 「デュープリズム!? それがヴァレンの【遺産】なの!?

トラップマスター
 「そーいうことさ。あとは勝手に調べな! オレらはもう行くからな。

マヤ
 「ドールマスターに合流する気ですね! そうはさせません!

モードマスター
 「違うわ。私たちの手はもうあの方のとどかないもの。

ミント
 「へ?

トラップマスター
 「ドールマスター様がデュープリズムを手に入れたら、オレらの仕事もおしまいだ。
  あとは好きに生きてくだけさ!

 「行こうぜ、アネキ!

モードマスター
 「ミント。あなたはさっき『プリマドールを助ける』と言っていたわね。

ミント
 「そーよ。あの子と約束したからね。

モードマスター
 「たぶん、あの子はもう地上にはいないわ。
  儀式の影響でヴァレンの聖域のどこかに強制転移されているでしょう。
  あの子を助けてあげたかったらどうにかして聖域まで行くことね。

ミント
 「…………。どうして教えてくれるの。

モードマスター
 「さあ……なぜでしょうね。私たちも昔は道具だったから……。そんなところかしら。


マヤ
 「彼らにも、彼らなりの正義があるのでしょうか……。

ミント
 「かもね……。

 「あんた、これからどーするの? この塔にいすわるわけ?

マヤ
 「いいえ、この塔にいてもなんの解決にもなりません。
  ひとまずカローナの街にゆき今後のことについて考えたいのですが……。

ミント
 「やめた方がいいわ。あいつら、あんたの名前を使って、町を荒らしたから……。
  今あんたが街に顔を出したらトラブルが起こるかもしれないわね。

マヤ
 「そうですか……。

ミント
 「あたしに心当たりがあるわ。
  あの人なら、なんにも言わずにあんたを預かってくれるよ。

マヤ
 「まあ、そんな親切な方が!?

ミント
 「ただ……ちょっとセンスに問題があるけどね……。
 

≪カローナの街≫

噴水広場
ミント
 「マヤのことはファンシー・メルにまかせてきたし……。
  あとはヴァレンの聖域に乗りこむだけね!
  プリマを助けて、ドールマスターをボコボコにして…そしてもちろんっ!

 「ヴァレンの【遺産】を手に入れて世界を征服してやるわっ!!

 「えーと……。 【遺産】の名前ってなんだっけ?
  シュークリームじゃなくて……。デュ……デュ……デュープ……。

 「ま、名前なんてどーでもいーわね。聖域まで行けばわかるわ、きっと。
  でも、あんな空の上までどーやっていけばいいんだろ?


ニール
 「気になるなあ……。もちろん、あの空の城だよ!
  だってすごいアイテムがありそうじゃないか!
  はあ……もし空を飛べたら、あそこまで飛んでいってアイテムをさがすのに……。


グレアム
 「なんなんだ、あの空の城は!?
  俺は世界中を旅してきたが、あんな奇妙なものは見たことがねえ……。

 「どうやら俺は、大事件の目撃者になっちまったようだ。……くやしいぜ。
  俺があと10歳若ければ、目撃者ではなく主役を張ってやったのによ……。

 「空からの風に、ヤバイにおいがまじってやがるぜ……。
  俺がまだ若い頃、【遺産】の力を見たときと同じだ。


マルコ
 「見て見て! 空にヘンなものが浮いてるよ!? あれって、なに!?

 「地震が来たと思ったら、今度は空にヘンなものが出てくるなんて……。
  ぼくたち、どうなっちゃうんだろう?


ニール
 「ホッブスさんのお店で掘り出し物を売り出すらしいよ。
  なんでも炎の魔力をこめた魔法の玉らしいんだ。

 「この前、勇気をふりしぼって怒りの山に登ろうとしたら……。
  いきなり大きな影が飛んでいったんだ!
  もしかして、あれが伝説の怪焔竜ウィーラーフなのかな?
  すごいアイテムを、たくさん持っているらしいけど……会いに行くのは怖いなあ。


店の地下
クラウス
 「突然、大きな地震が起こって空に巨大な城が現われたんだ。
  街の人々はパニック状態だよ。……もちろん、私もね。

 「プリマドール君は無事だろうか……。

 「さっきからルウ君の姿が見えないんだ。心当たりはないかね?
 

≪怒りの山≫

山頂
ミント
 「あれは……ルウ!?

ルウ
 「ミント……。

ミント
 「しばらく姿が見えないと思ったらこんなところでナニやってんの?

ルウ
 「ウィーラーフに会いに来たんだ。
  ヴァレンの聖域に行くために協力してもらおうと思って。

 「僕は翼を手に入れたよ。……君のおかげで。

ミント
 「へ? あたしの?

ルウ
 「くじけそうになっていた僕をはげましてくれたじゃないか。
 『本当にクレアを助けたかったら最後まで絶対にあきらめないはずだ』って。

ミント
 (ぜんっぜん、おぼえてないわ……。あたし、そんなこと言ったっけ?

ルウ
 「君の言葉がなかったら僕は飛べなかった。
  打ちのめされてあきらめて、いじけて逃げ出してたはずさ。

 「だけど、もうだいじょうぶ。僕は飛ぶよ……この翼で。

ウィーラーフに変身

ミント
 「これが、あんたの翼!?

ルウ
 「行ってくるよ……クレアを救いに!

ミント
 「ちょっと! 待ちなさいよ! 待ってよ、ルウ!

ルウ
 「ありがとう、ミント。君のこと、忘れないよ。たとえ僕の命が……。

ミント
 「ルウ、あんた……。


ミント
 「行っちゃった……。

???
 「あやつは迷いをふりきったのだ。

ミント
 「ウィーラーフ!

ウィーラーフ
 「あやつの、ひたむきな願いはもはや誰にも止められぬ。
  いかなる呪縛をもふりきって高く飛ぶであろうよ。

 「意外そうな顔をしておるな。
  頑固者のわしが、ルウに協力したのが、ふに落ちぬか?

ミント
 「そんなことないけど……。

ウィーラーフ
 「ふぁっふぁっふぁ! かくさんでよい。ぬしの顔に書いてあるぞ。
 『ルウに翼を与えたなら、自分にもなにかよこせ』とな!

ミント
 「ぎく!!

 「そりゃ、なにかくれるならイヤとは言わないけどさ〜。

ウィーラーフ
 「ならば、これを持ってゆくか?

ミント
 「なに、これ?

ウィーラーフ
 「封じられた太古の魔法だ。

ミント
 「おおっ♪ なんかスゴそーね! ちょーだいちょーだいっ♪

ウィーラーフ
 「すぐには渡せん。この魔法は、いささか危険でのう。
  力弱き者が手にすれば魂を食らいつくされて
  闇の亡者と化して破滅するであろう。

ミント
 「げげっ!?

ウィーラーフ
 「ぬしの力が弱ければ魔法を渡すわけにはゆかぬ。
  わしは、ぬしの破滅を見とうないのだ。この世に生まれて1000年。
  わしは、あまりに多くの死を見すぎた……。

ミント
 「じーさんの言いたいこと、わかったわ。

ウィーラーフ
 「ほほう。

ミント
 「よーするに『魔法がほしければわしとバトルしろ』ってことね!
  あたしが、その魔法に負けない強さを持ってるかどーか
  たしかめるってわけでしょ!

ウィーラーフ
 「ふぁっふぁっふぁ! 察しがよいのう。いかにも、ぬしの言う通りだ。
  この魔法がほしければ、わしと戦い見事に打ち勝ってみせい!

ミント
 「やってやろーじゃないの! 行くわよっ!

ウィーラーフ
 「かかってくるがよいっ!
ウィーラーフとバトル!

ウィーラーフ
 「見事であったぞ、ミント。かつて戦ったときよりもさらに力をつけたな。

ミント
 「まあね〜♪

ウィーラーフ
 「ぬしならば、この魔法を使いこなせるであろう。
  受けとるがよい。ぬしには、その資格がある。

ミント
 「大事に使うわ、じーさん!
【ハイパー】をゲット!

ウィーラーフ
 「ミントよ……かならずや【遺産】を手に入れ、世界を征服してみせい。
  ぬしが世界をひとつにしたら、
  わしはこの山を離れて、ぬしのもとでぬくぬくと隠居するつもりだ。
  わしは、その日を楽しみにしておる。年寄りの願いを裏切るでないぞ。

ミント
 「まかしといて!
  邪魔するやつはボコボコにしてかならず【遺産】を手に入れるわ!

ウィーラーフ
 「期待しておるぞ。

ミント
 「じゃあね、じーさん! いい知らせを待っててね!


ウィーラーフ
 「…………。

 「いつまで、かくれておるのだ? 恥じらうような歳ではあるまい。

メル
 「失礼ね。わたしの年齢も知らないくせに。

ウィーラーフ
 「はて、いくつであったか……。
  あまりにも長い付き合いゆえぬしの歳など忘れてしもうたわ。

メル
 「あなただって、ずいぶん歳をとったわ。
  伝説の魔竜、怪焔竜ウィーラーフがすっかり丸くなったじゃない。
  孫をかわいがる、おじいさんのようだわ。

ウィーラーフ
 「からかうでない。

 「われら古き者どもの時代はとうの昔に終わったのだ。
  エイオンが去っていったようにわれらも、やがて去りゆくさだめにある。

メル
 「だから、自分では手を出さずにあの子たちを見守っているの?

ウィーラーフ
 「さよう。世界は……未来はあやつら若者たちのもの。
  なれば世界を守るも滅ぼすもあやつらにゆだねるべきであろう。
  われらは見守るだけでよい。

 「ぬしも同じように考えてあやつらを助けたのであろう?

メル
 「…………。

 「あなたは、なんでもお見通しなのね。

ウィーラーフ
 「長い付き合いだからのう。

メル
 「あの子たち、うまくやれるかしら……。

ウィーラーフ
 「信じるしかあるまい。われらにできることはそれだけであろう。
 

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