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クレアのかげ



???
 「ルウ……。ルウ……。いつまで眠っているの?

ルウ
 「僕を……呼んでる? 空耳かな……。

???
 「ルウ……。
 

≪カローナの街・夜≫

宿屋・ルウの部屋
ルウ
 「空耳じゃない。外からだ!

窓から外を見るとクレアの姿が…
ルウ
 「…………。そんな……。そんなことが……!


噴水広場
宿屋、クラウスの店に入ろうとする

ルウ 
 (クレアをさがさないと……。


街外れの草原
ロッド
 「ZZZ……。もう食えねぇぜ……。

 「ZZZ……。熱いソウルで……。

 「ZZZ……。新しいウェポンは……。


裏通り
ホッブスの店
 『ただいま準備中じゃ。
          ホッブス』


酒場
 『本日の営業は終了しました。
             ジャーゲン』


船着き場
デューク
 「夜風がしみるぜ……。


ルウ
 「デューク! 紫色の服を着た女の人がここに来なかったか?

デューク
 「紫色の服? 知らないな……。
  眠れなくて、さっきからここにいるが、誰も来てないぜ。

ルウ
 「そうか……。


デューク
 「さっきからここにいるが誰も来てないぜ。

 「夜風がしみるぜ……。


噴水広場
ルウ
 「どうなってるんだ……!?


街外れの草原
ロッド
 「ルウじゃねぇか。こんなミッドナイトにどうした?

ルウ
 「ロッドさん、ここに紫色の服を着た女の人が来ませんでしたか?

ロッド
 「わからねぇな。ジョニー・ウルフをなだめるのに手いっぱいでよ。
  あたりを見てる余裕なんてねぇよ。

 「どうしたんだ、ジョニー・ウルフ?
  まるでゴーストでも見たみてぇにブルっちまってよ。

ルウ
 「幽霊、か……。まさか……?


ロッド
 「人の気配はねぇな。誰も来てねぇと思うが。

 「ジョニー・ウルフがこんなにおびえるなんて、初めてだぜ……。

 「こんなミッドナイトに散歩する女なんて、いるのか?


噴水広場
教会へ入るクレアを目撃
ルウ
 「あっ!


教会
ルウ
 「クレア!!

クレア
 「ルウ……。よく来てくれたわ。

そばに寄ろうとすると遺跡で見かけた男が現われる

ルウ
 「おまえは……。

サイコマスター
 「サイコマスターと申します。以後、お見知りおきのほどを。

ルウ
 「どいてくれ。

サイコマスター
 「……かしこまりました。

クレア
 「きゃああっ!!

ルウ
 「クレア!!

サイコマスター
 「あなたのお力試させていただきます。

ルウ
 「……彼女を降ろせ。今すぐに!

サイコマスター
 「力で私を倒せますかな?

サイコマスターとバトル!
この私に正面から挑むというのですか


サイコマスター
 「けっこう。あなたは充分な力をお持ちのようです。
  わが主もお喜びになることでしょう。

ルウ
 「おまえの主なんかどうでもいいっ! クレアを離せっ!

サイコマスター
 「この女性を救いたくばマヤ殿下の塔においでなさい。わが主がお待ちしております。……では。

ルウ
 「待て!

 「あ……。

 「うわああああぁっ!!

≪翌朝≫

噴水広場
マーカム
 「湖の塔に、東天王国のマヤ殿下がいると聞いて、行ってきたところです。
  ぜひともお会いしたかったのですが
  赤毛の男が出てきて追い返されてしまいました。

マルコ
 「湖のほうから、ヘンな鳴き声が聞こえるんだ。
  あの塔にいるモンスターかな? 気持ち悪いなあ……。

 「最近、ゴロツキ兄弟を見かけないね。どこに行っちゃったんだろう?


グレアム
 「よう、ずいぶんあせった顔をしてるな。
  そんなことじゃ、くだらないワナにコロリとひっかかっちまうぜ。
  いいか、長生きしたかったら冷静さを忘れるんじゃないぞ。


クラウスの店
ミラ
 「もし、湖畔の塔に行くなら万全の準備をしてから行くのよ。
  装備を整えておかないときっと後悔することになるわ。

 「ルウ君、あせってはダメよ。あのミントちゃんだって今はじっとしているわ。


クラウスの店の地下
クラウス
 「ルウ君……もう君に頼むしかない。プリマドール君を助けてやってくれ。

 「私が【遺産】を求めたせいでたいへんなことになってしまった……。

 「東天王国のマヤ王女か……。
  東の果ての国の王女さまがどうしてこんなところに……?

 「プリマドール君が、ああいうことになったのは、ルウ君のせいじゃない。
  責任を感じすぎてはいけないよ。


酒場
アリーネ
 「いらっしゃい! ゆっくりしてってね♪

 「お客さんから聞いたんだけど、
  湖畔にいきなり大きな塔ができたって、ほんと?
  なんにもないところに、塔が建つなんて信じられないわ。

 「クラウスさんの家が、急に静かになっちゃったのよ。
  プリマドールちゃんの声が聞こえないのよね……。

 「さあ、仕事しないと。


船着き場
デービス
 「湖畔に塔が建ったせいで湖に近づけないらしいな。
  水路もふさがれちまったし街と湖は、完全に切り離されたな。

 「いやな予感がするんだ。急いで街から逃げた方がいいかもしれん。
  とは言っても、次の船が来るまでまだ何日もあるがな。
 

≪メルのアトリエ≫

メル
 「ブック・オブ・コスモスの力は絶大だわ。
  でも、ヴァレンの【遺産】の魔力はそれ以上よ……。

 「東天王国か……。ミントは、どうするつもりなのかしら?
 

≪マヤの塔≫

入口
ルウ
 「クレア……。いま行くよ!


螺旋階段
ルウ
 「扉が!?

???
 「よお、ルウ!! テメエはあいかわらずマヌケだぜ!!
  まんまとおびき出されてノコノコやって来るとはよ!

ルウ
 「トラップマスター! そうか……おまえもやつらの仲間か!

トラップマスター
 「やっと気がついたか。ニブすぎるぜ、ルウ。

 「おーっと、なにしやがる気だ? オレをブッ倒してスタコラ逃げ出すつもりか?
  残念ながら、そうはいかねーんだ。この塔からは出られねーからよ!

トラップマスターに近づくると吹っ飛ばされてダメージを受ける
トラップマスター
 「出られねえって言ってんだろ! タコ!

 「何度言わせりゃいいんだ? 出られねえんだよ!

 「ちったあ進歩しろ、タコ!

 「テメエのノーミソかっさばいてアタマの中身を見てみてえぜ。

 「ケッ、もうなにも言う気がしねえ。
言われたとおりに先に進む
トラップマスター
 「テメエが素直にのぼるなら
  オレの仕事はここまでだ。
  昼メシでも食いに行くか!
吹っ飛ばされてから先に進む
トラップマスター
 「ギャハハハッ! その調子だぜ!
  ヒイコラのぼっていきやがれ!

トラップマスター
 「おっと! 逃げよーとしてもムダだぜぇ!
  この扉、チョイとしかけをしたからよ。ヘタにさわればギタギタだぜッ!
  アマい期待はポイっと捨ててさっさと上に行くんだな!!


扉に近づくと吹っ飛ばされてダメージを受ける
トラップマスター
 「ギャハハハハッ! ギタギタだって言ったろうが!

 「テメエの耳はフシ穴かぁ? この塔からは出られねーよ!

 「ヒトの話を聞けってんだよ! 出られねえんだ、タコ!

 「ケッ、勝手にしやがれ!

広間
ルウ
 「クレア!

 「…………。

 「まだ信じられないよ……。きみが生きていたなんて……。
  きみにまた会えるなんて……。

 「いっしょに帰ろう。僕たちのうちへ。

 「……!?

クレア?
 「くっくっくっくっ……。

ルウ
 「…………クレア? なにがおかしいんだ?

クレア?
 「決まってるわ……君よ、ルウ。だってそうでしょう?
  いい年をした男の子が、クレアクレアと興奮したあげく、涙まで流しちゃって。
  これが笑わずにいられるかしら。おかしくって、私まで涙が出るわ。

ルウ
 「きみは……クレアじゃ……!?


 「ええ、そのとおりよ。

 「君が必死に追いかけたクレアの正体はこの私……モードマスターだったの。
  楽しかったわよ、ルウ。君は本当にからかいがいがあったわ。

ルウ
 「な……。どうして……そんな……。

モードマスター
 「もちろんエサよ、エサ。君をおびき寄せるためのね。
  君の熱〜い想いを、少しだけ利用させてもらったというわけ。
  悪く思わないでちょうだいね。

 「ふふ……クレアという女のこと少しだけうらやましくなったわ。
  君をあんなに夢中にさせるなんてよほど素敵なひとだったのでしょうね。
  まだ生きていたら、きっと……。

ルウ
 「黙れっ!


モードマスター
 「ニセモノとわかっていても斬れないのね。
  かわいそうに……君は甘すぎるのよ。


???
 「哀れだな、ルウ。

ドールマスター
 「クレアは生きているかもしれない。
  そんな都合のよい奇跡を信じてここまでやってきたのだろう?
  残念だったな、ルウ。おまえの行動はすべて無駄だ。
  あの女は死んだ。クレアは死んだ。それが、ただひとつの事実だ。

ルウ
 「言うなっ!

ドールマスター
 「フッ……伝わってくるぞ!
  おまえの胸に荒れ狂う怒りと憎しみがこうこうと押し寄せてくる!
  だが、まだ足りぬ! おまえにはもっと大きな力が眠っているはずだ!!

ルウ
 「うるさいっ! おまえの知ったことかっ!!

ドールマスター
 「ならば思い出させてやろう!
  おまえに眠る真の力をわが呪わしき『手』によって!

ルウ
 「なっ……! その手は……その手は!!

ドールマスター
 「そうだ。私なのだよ、ルウ! 私がクレアを殺したのだ!!


ルウ
 「…………こっ……。

 「…………てやる。

 「殺してやるッ! きさまは殺すッ!!

ドールマスター
 「3年前と同じだな。怒りによってめざめたか。

 「教えてやろう。おまえは決して私には勝てん。

ドールマスターとバトル!
ボタンでガード


ドールマスター
 「言ったはずだ。『決して私には勝てん』と。

ルウ
 「うっ……。

ドールマスター
 「さて……あとは仕上げだが……。

???
 「何事です、ドールマスター!

マヤ
 「!?

ドールマスター
 「これはこれは、マヤ殿下。よいところに見えられた。
  これから殿下のもとへうかがうつもりでしたが手間がはぶけましたな。

マヤ
 「ドールマスター、質問に答えなさい! ここでなにが起こったのです!!

ドールマスター
 「ならばお答えいたしましょう。

 「殿下は、もう用なしです。

マヤ
 「それは……。

ドールマスター
 「サイコマスター!! ブックを奪え!

マヤ
 「なにをするのです!

ドールマスター
 「ルウよ……おまえの真の力見せてもらうぞ。

 『ギズモ=ギア=ギアス!!』
 『露より生まれし者に命ず。いにしえの使命に従い汝、その力を解き放つべし!』


ドールマスター
 「そうだ……ルウよ、その力でブックを引き裂くがいい!

マヤ
 「ブックが……。エイオンの【遺産】が分解される!?
 

≪ブック・オブ・コスモス≫

ルウ
 「ここは……。

???
 「ブック・オブ・コスモスですわ。

マヤ
 「ここは、わたくしのブックの内奥に広がるもうひとつのコスモス……宇宙なのです。

ルウ
 「おまえは……。

 「ぐっ!?

マヤ
 「ドールマスターに手ひどくやられたようですね。じっとしていなさい。

ルウ
 「……すまない。

マヤ
 「それなりの礼儀は知っているようですね。
  以外ですわ。お姉さまの仲間だからもっと無茶な人だと思っていましたわ。

ルウ
 (お姉さま? 誰のことだろう……。

マヤ
 「それにしても……。いまだに信じられません。
  エイオンの【遺産】であるブック・オブ・コスモスが分解されてしまうなんて……。
  あのドールマスターは、すさまじい魔法の使い手ですが、
  いくら彼の魔力がすぐれていても、説明がつきません。
  おそらく、ブックを分解したのはドールマスターの魔力ではなく……。

 「ルウ、あなたの力でしょう。あなたには、なにか大きな力が宿っているようですね。

ルウ
 「…………。

マヤ
 「気になるのが、あなたの額に光る石です。
  ただのアクセサリーではないようですね。
  相当の魔力を秘めているようですが……。

ルウ
 「この石のことは、僕もよく知らないんだ。

 「それだけじゃない。僕は……。自分が何者なのかも知らない。
  自分のことなのにわからないことだらけなんだ……。

マヤ
 「ならば、アタナシウスにたずねるのがいちばんの早道でしょうね。

ルウ
 「アタナシウス?

マヤ
 「ブック・オブ・コスモスをつくったエイオンですわ。
  彼の知識ならば、どのような疑問もすぐに解決してくれるでしょう。

ルウ
 「エイオンは、みな死に絶えたはずじゃ……。

マヤ
 「ええ、アタナシウスは何百年も昔に亡くなっています。
  しかし、アタナシウスは、死の直前にその精神をブックに封じこめました。
  彼はまだ、ここで生きているのですわ。

 「肉体のない、魂だけが。

ルウ
 「僕がどこから来たのかアタナシウスは知っているだろうか。

マヤ
 「彼は万能のエイオンです。知らないことなど、なにひとつありません。

 「いずれにせよ、アタナシウスと接触せねばならないのです。
  わたくしたちが、このブックの世界から脱出するためにも、彼の助けが必要です。
  アタナシウスを呼びましょう。

???
 「わしならば、ここにおる。


ルウ
 「これが……アタナシウス?

マヤ
 「彼はブック・オブ・コスモスと融合しているのです。

アタナシウス
 「王女よ、なにが起きたのじゃ?
  わしの最高の作品たるブックがいともたやすく引き裂かれおった。
  わがブックを、傷つけたのはいったい何者なのじゃ?

マヤ
 「わたくしにも、わからないのです。ただ……彼の額の石が輝いて……。

アタナシウス
 「額の石、じゃと!?

マヤ
 「どうしたのです?

アタナシウス
 「おまえは……おまえは!
  なるほどな。その石の妖力ならばわがブックをも引き裂けるじゃろう!

ルウ
 「僕の石のこと、知っているのですか!?

アタナシウス
 「いまいましいほど知りつくしておるわ! 過去の亡霊め! やつの手先め!
  そうか……おまえは刺客じゃな!
  やつは、邪魔なわしを始末するためにおまえを送りこんだのじゃろう!

ルウ
 「刺客? やつ? 僕には、なんのことだか……。

アタナシウス
 「しらを切っても無駄じゃ。いまいましいヴァレンの手先めが!!

ルウ
 「僕が……ヴァレンの手先!?

アタナシウス
 「黙れ黙れ、黙れぃ! おまえのたくらみなど見抜いておる。
  その妖力で、わしを滅ぼし
  ヴァレンとデュープリズムを目覚めさせるつもりじゃろう!

ルウ
 「デュープリズム……。

アタナシウス
 「させぬぞ。断じてさせぬ! あれは災いを呼び寄せる力じゃ!
  ヴァレンには永遠の眠りがふさわしい!
  こざかしい人形め! きさまなどわが魔力でひねりつぶしてくれるわ!!

マヤ
 「落ち着いて下さい、アタナシウス!

ルウ
 「だめだ……正気じゃない!

アタナシウスとバトル!
滅せよ、人形!

ボタンでガード

すぐに復活する

ルウ
 「なにっ!?

アタナシウス
 「無駄じゃ人形! ここはわしの世界! わしは不滅じゃ!!

ルウ
 「うわぁっ!

アタナシウス
 「哀れ哀れ哀れ! そして愚かよのう!
  たかが人形ごときが、全能のエイオンに刃向かうなど、片腹痛いわ!

???
 「ほざくな!! 老いさらばえたエイオンの抜けがらめ!

アタナシウス
 「おのれ……おのれ!!

ドールマスター
 「消えろ!! きさまの魔力、ことごとく吸いつくしてやろう!


ドールマスター
 「他愛ないものだな。なにが全能だ……笑わせる!

マヤ
 「なんということを……。あなたは……あなたという人は!

ドールマスター
 「おやめなさい、殿下。
  私はアタナシウスの全魔力を吸収した。もはや、あなたの魔法など通用せぬ。

マヤ
 「アタナシウスの魔力を……吸収!? もしや、あなたはそのためにブックを……。

ドールマスター
 「いかにも。エイオンの魔力をうばうためにブックを解体したのだ。

 「おまえの石を力を使ってな……ルウ。

マヤ
 「なぜ……なぜなのです、ドールマスター!

ドールマスター
 「よかろう! すべてを話そう。われわれが、なんのために生まれたのかを。
  われわれに課せられた使命の重さを。
  ルウよ。他でもない、おまえにだけはどうしても伝えねばならん。
  はるか昔に定められた宿命と、使命をな。

ルウ
 「僕、に……?


「ひとりのエイオンがいた。
 神々にも匹敵する魔力を持った彼はある強大な【遺産】を創り出した。

「宇宙にみなぎる、もろもろの力から
 ほんのわずかずつしたたりおちる神秘のしずく……。
 ほとばしるしずくをひとつに集め最高純度に浄化して凝縮したその時
 曇りなき力の結晶が生まれた。
 生命の光、意志の光、理性の光時空の光、真理の光、虚無の光
 あらゆる光の流れをあやつるもの。
 過去も未来も運命も時空も生命も森羅万象を光へと還元して
 思うがままに変容せしめる至高の魔宝。

「それが……デュープリズム。

「天のしずく、地のしたたり時のしぶき、生命の露。
 その結晶たるデュープリズムはひとつの宇宙そのものなのだ。
 デュープリズムを手にした者は宇宙の諸力の根源を支配する。

「そう、彼は……ヴァレンは神になるはずであった。

「だが……強力すぎるデュープリズムがヴァレンの身に悲劇をまねいた。

「ヴァレン以外のエイオンたちはデュープリズムを生み出した
 ヴァレンの才能を恐れた。
 恐怖と嫉妬に狂った彼らはヴァレンを集中攻撃したのだ。

「敵どもの魔力に追いつめられヴァレンの肉体は滅びた。


マヤ
 「ヴァレンは……死んだのですか。

ドールマスター
 「肉体は死んだが、精神まで滅んではいない。
  肉体を失ったヴァレンは、
  自分の精神を強力な結界で封印して眠りについたのだ。
  ……デュープリズムとともに。

 「エイオンにも破れない永劫結界に守られて、ヴァレンは時を待っている。
  ヴァレンと敵対するエイオンも不老不死ではない。
  ヴァレンが眠っている間に、年老いて滅び去る。
  時がめぐればめぐるほどヴァレンの敵は減ってゆくのだ。

 「そしてたった今、ヴァレンの最後の敵アタナシウスが滅んだ!
  もはやヴァレンを邪魔する者は誰ひとりとして存在しない!

マヤ
 「ならば、もうすぐヴァレンは復活する……?

ドールマスター
 「残念ながら、そうもゆかん。



「ヴァレンを封印しているのは時空の流れから外れた永劫結界。
 外部からは絶対に破壊できないが内部からも絶対に脱出できない。
 ヴァレン自身にも解除不能なのだ。
 このまま結界を解かずにおけばヴァレンとデュープリズムは
 時の終わりまで眠りつづける。



???
 「ヴァレンを目覚めさせてはならぬ!

ルウ
 「アタナシウス!?

アタナシウス
 「ヴァレンは、自分でつくった牢獄に閉じこめられておる!
  あの封印を解除できるのはヴァレンの人形たちだけじゃ!

マヤ
 「ヴァレンの……。

ルウ
 「人形!?

アタナシウス
 「おまえたちさえ……。
  ヴァレンの人形さえいなければやつは永久に復活できぬ!


アタナシウス
 「おまえたちさえいなければ
  おまえたちさえいなければ……。

ドールマスター
 「哀れなものだな、アタナシウス。
  ヴァレンをまねて肉体を捨て死を逃れた結果が、このざまか。
  ヴァレンへの嫉妬と憎しみに狂ったきさまは、もはや死霊にすぎん。
  ブック・オブ・コスモスとともに滅べ!


ドールマスター
 「アタナシウスは滅び去った。
  もはや、ヴァレンの再臨をさまたげる邪魔者はいない。
  あとはヴァレンの人形が課せられた使命を果たすだけだ。
  わかっているな、ルウ。

ルウ
 「そんな……!

 「答えろ、ドールマスター! ヴァレンの人形というのは……。

ドールマスター
 「もう、わかりかけているはずだ。



「自分を結界に封じる寸前、ヴァレンは特殊な能力を秘めた人形たちをつくり
 世界各地にかくした。
 そう、結界に守られて眠る自分をいつの日か目覚めさせるために。
 それがヴァレンの人形だ。

「そして……。おまえもそのひとりなのだよ、ルウ。



ドールマスター
 「聞け、ルウよ。おまえの額に輝く石はデュープリズムに小さなかけら。
  いかなる封印・結界をも破壊する絶大なる魔力を秘めている。
  ブック・オブ・コスモスを分解したのも、その石の力なのだ。


ドールマスター
 「見よ、ヴァレンを守る結界を。おまえなら、あの結界を破れる。
  おまえには、その力があるのだ。それがおまえの使命なのだ!

ルウ
 「僕の、使命……。

ドールマスター
 「そうだ、おまえの使命だ。
  ヴァレンの眠りを終わらせるためにおまえはつくられた。
  ルウよ、使命を果たせ! ヴァレンを呼び覚ますのだ!!


ドールマスター
 「新たなる神話がはじまろうとしている。
  全能のデュープリズムを解き放ってヴァレンは星々をもつかみ取るであろう。
  もはや何者にも邪魔はできん。ヴァレンは神となる!!


ルウ
 「僕が、ヴァレンの……。

 「でたらめだ!! 僕は信じない! クレアを殺した、おまえの話なんて!

ドールマスター
 「信じられぬか……無理もあるまい。
  おまえはヴァレンの人形としての記憶を失っているようだからな。
  私が能力を失っているのと同じか。

ルウ
 「どういうことだ……?

ドールマスター
 「私の言葉が、まことである証拠を見せてやろう。

ルウ
 「!?

 「その石は……。おまえは……おまえもなのか!?

ドールマスター
 「そうだ。私もヴァレンの人形なのだよ。
  おまえと同じくな、ルウ。いや……わが弟、とでも呼ぶべきか。

 「おまえが5年前に目覚めたように私は100年前に目を覚ました。
  おまえとは違い、私は人形としての使命を覚えていた。

 「だが……私は失敗作でな。私の石を見ろ。

 「私の石は輝きを……光を失っている。私には、結界を解く力がないのだ。
  結界を解くには、他の人形の力を借りねばならん。

ルウ
 「他の人形……僕のことか。

ドールマスター
 「そうだ。だから3年前……あの雪の夜におまえを迎えに行った。

ルウ
 「そして……その手でクレアを!

 「どうして殺したんだ!
  僕を迎えに来ただけならクレアを殺さなくてよかったのに!

ドールマスター
 「あれは偶然の事故だ。
  私も殺すつもりはなかったがあの女の体がもろすぎてな。

ルウ
 「事故だと!!

ドールマスター
 「安心しろ。おまえが使命を果たせばクレアとやらの命を助けてやろう。
  ヴァレンを呼び覚ましてデュープリズムの力を使えば
  あの女の命など、簡単に取りもどせる。
  これですべて解決だ。
  あの女さえ、よみがえればおまえが私を憎む理由もあるまい?

ルウ
 「ふざけるな!! あの時クレアを殺しておいて今度はよみがえらせるだと!?
  クレアの命を、もてあそぶな!

ドールマスター
 「私は弟と争うつもりはない。私とともに来るのだ、ルウ。
  われらは兄弟なのだ。ともに使命を果たそうではないか。

ルウ
 「僕を弟と呼ぶなッ! 僕はおまえの力なんか借りない。
  自分の力だけでクレアを取りもどす! それが僕の使命なんだ!

ドールマスター
 「そうか……どうあっても私についてくる気はないのだな。

ルウ
 「ついてはいかない。追いかけるだけだ。追いかけて、おまえを倒す!

ドールマスター
 「ならばよい! もはや、おまえの力は借りぬ。私ひとりで使命を果たそう!

ルウ
 「ひとりで!? おまえの力は失われているんじゃ……!?

ドールマスター
 「アタナシウスから吸収した魔力でプリマドールの石化を解けばすむことだ。
  あの人形ならば、湖水の遺跡の封印を解除して、ヴァレンが眠る天の城
  ……ヴァレンの聖域を招来できる!

ルウ
 「待てっ!

ドールマスター
 「さらばだ。
  

≪マヤの塔≫

ルウ
 「くっ……。

 「ドールマスターは……!!


ルウ
 「行って……しまったのか。

マヤ
 「きっと湖水の遺跡に向ったのでしょう。
  あの男は、ヴァレンの【遺産】に……デュープリズムに接触する気です。
  もしヴァレンが目覚めたら……。

 「世界は……破滅です。

ルウ
 「君のブック・オブ・コスモスであいつを止められないか!?

マヤ
 「それは……できません。
  アタナシウスが滅ぼされてブックは力を失ってしまいました。

 「わたくしにはもう、なにもできません……。

ルウ
 「!?

マヤ
 「この震動は!?
 

≪湖水の遺跡≫

サイコマスター
 「ついに現われましたな。デュープリズムが眠るヴァレンの聖域が。

ドールマスター
 「あとは聖域の最上層でヴァレンと接触するだけだ。

サイコマスター
 「まいりましょう、ドールマスター様。今こそ100年間の悲願をかなえる時です。

 「ふたりとも、あとはまかせましたよ。

トラップマスター
 「なーに、まかせとけって。アニキのぶんまでガツンとやってやるさ。

モードマスター
 「ドールマスター様……。

 「せめて最後までおともしとうございました。

ドールマスター
 「おまえたちには、本当に世話になった。礼を言う。

モードマスター
 「いいえ……礼を言うのは私どもです。
  あなたは、兵器として生まれた私どもに名前を与えてくださったのです。
  あなたがいてくださらなかったら私どもは……ずっと道具のままでした。

ドールマスター
 「…………。

 「キリエル、あとを頼む。

モードマスター
 「地上の守りは私どもにおまかせを。

ドールマスター
 「ナーシアス、くれぐれも……。

トラップマスター
 「ムダ死にはしねーよ。

ドールマスター
 「すまん。


ドールマスター
 「ゆくぞ、カーウィン。

サイコマスター
 「かしこまりました。

 「使命をお果たしください、ルシアン様。

ドールマスター
 「…………。

 「捨てた名だ。
 

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